40話 野太刀
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「なんだっ?」
「死んでるのか?」
「おい、何が起きた? そいつ血を流してるぞ!!」
突然の出来事に山賊たちは混乱した。
馬車の中を覗いた仲間が突然、胸を一突きされて声もあげずに
地面に転がったのだ。
驚くなといっても無理があるだろう。
しかし、馬車の中から山賊以上に驚きの声が上がった。
「な、なにやってんだ、ゼノビアのあねさん!!
さっきのが俺達が探してるギルドメンバーだったらどうするんだよっ!!」
「アハハハハハッ、そういえばそうだったね。
無防備に馬車の中を覗き込んでくるもんだから、おもわず刺しちゃったよ
はずみだ。すまないねえ」
ホロを勢いよく開けると馬車の中から、ゼノビアが外へと飛び出した。
ゼノビアに続いて馬車のホロをユライが開ける。
こちらは馬車の外へと出ず、上から大声で叫んだ。
「西の都市のヴァシーリーの息子、ダーリアはいるか!!
盗賊ギルドの者だ。ギルド規則に則り、助けに来たぞ。家に帰してやる。
早く名乗り出ろ!!殺されるぞ!!」
「お、俺だ。俺がダーリアだ」
山賊の一団の中程から1人の男が名乗り出た。
「俺がダーリアだ。ほ、ほんとうに助けてくれるの!? 家に帰りてえよ」
「ほんとうだ。盗賊ギルドは決してギルドメンバーを見捨てることはない。
いいから、はやくこっちに来い!!殺されるぞ!!早くしろ!!」
ユライは先程からかなり焦り気味だ。
そんなユライを見ながらゼノビアはニヤニヤしている。
彼女は焦る理由を知っているのだ。
ダーリアと名乗った男はありがてえ、といいながら馬車へと駆け寄ろうとした。
それを他の山賊が止める。
「おい、待て!! てめえ裏切るつもりか!!」
「そ、そんなこと言っても、ギルドが迎えに来てくれたんだ。
そうだ、一緒にお前らも西へ帰ろう」
「馬鹿野郎!! 西へ帰って無事に済むと思うか!!
俺達は脱走兵だぞ。軍は脱走したことを知ってるんだ。
脱走は最悪死罪だ。
お前はギルドメンバーだからギルドがもみ消しでもなんでもやってくれるが、
こっちはそうはいかねえーんだ。
お前とは違って俺達は、もうあとがねーんだよ」
「そ、それについては気の毒だとは思うよ。
だけど、それについては俺は力になってやれないんだ。頼むよ見逃してくれよ」
「そうはいかねえ。裏切り者はこうしてやる!!」
ぎゃあああああああああああああああああああああああ
突然、その場に響いた悲鳴はダーリアのものではなかった。
山賊たちが驚いて悲鳴のした方を見る。
そこには野太刀と呼ばれる大きな刀を持ったラインハルトが立っていた。
ラインハルトの足元には山賊の死体が転がっており、
右肩から腰にかけて大きな斬り傷がついている。
野太刀とよばれるラインハルトの持つ刀は独特の形状をしている。
刃の長さだけで180cmもあり、持ち手の長さまでいれると、全長は2mを超える。
刃の横の長さも通常の刀と違って長い。
刃の背から、俗に言うみね打ちで使われる部分から、刃まで20cmもあり、
刃幅も最も太い部分で10cmに達する。
ボア族の中でも野太刀を愛用する者はいるが、
ラインハルトの持つ野太刀はその中でもかなりの大物の部類だろう。
おそらく、悲鳴を上げた山賊は馬車の近くに立って、ゼノビアとユライが起こした一連の騒ぎを見ていたのだろう。
そこに、誰も見ていないのをいいことに、馬車の前方からラインハルトが出てきて
無言のうちに山賊の背後から斬りかかったのだ。
「ズゥエリャアアアアアア!!!」
野太く鋭い怒号を発しながらラインハルトは山賊に次々と斬りかかった。
突然の出来事に頭がまわらない山賊は、対応できず次々と地面に倒れていく。
ラインハルトの剣戟は斬るというより潰すにちかい。
太く長い刃を使って上段から、相手の頭を目掛けて打ち下ろす。
相手は剣で受け止める事もできず、脳天に刃が直撃する。
頭がひしゃげて刃がめり込むが、このときに余りに力をいれすぎると
刃が肉に引っかかり抜けなくなってしまう。
ここで出番となるのが、刃の切れ味だ。
凄まじい力で頭にめり込んだ刃を引き抜くときに、ほどんど引っかからずに、
スラリと引き抜けるのはドワーフ特性の鍛冶技術が活かされている証拠だ。
後にラインハルトらボア族が使う野太刀を見て諸国の戦士の間で大剣や野太刀が流行する。
そのときに言われた言葉がある。
”近頃は理由も知らずに力だけに頼った者が野太刀を使い、相手の体に入った刃を
そのまま抜こうとする。素人戦士と素人鍛冶屋のなんと多いことか”
諸国の戦士たちは相手の体に入った刃をそのまま、斬りつけた方向と逆の方に抜こうとする。
上からから相手の頭目掛けて、下に刃をおろしたならば、そのまま刃を上にあげるといった具合だ。
しかし、本来は刀の切れ味を活かして自分の方に引き抜くのが正しい。
そうすれば余計な力を使わずにスルリと抜けるし刃も傷まない。
しかし、それには刃を加工する優れた冶金・鍛冶技術が必要である。
諸国の戦士たちの持つ野太刀や大剣にはそれらがないので、
いたずらに長い剣を力だけに頼って振り回すしかない。
ドワーフの各種技術とボア族の力強くも繊細な刀捌きによって
野太刀ははじめて、その真価を発揮するのである。
それらを持たない戦士と鍛冶屋の多い事を嘆いた言葉が先程の言葉になる。
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次回更新予定 2019/12/18




