23話 村へ
義清はラインハルト・ゼノビア・エカテリーナ・ベアトリスと、
護衛であるヴェアヴォルフ族とボア族を少数だけ伴って村に入った。
村は木々が生い茂る周りの森とは異なり地面がかなり乾燥している。
村の中にはほとんど草が見られず木もほとんど生えていない。
わずかに生える木は葉をつけておらず、乾燥した地域にある木の様だ。
村の門をくぐると建物が左右に並ぶ通りになっていた。
建物は西部劇さながらの低い床の建物が並んでいる。
通りにはかなり大勢の村人が、門をくぐる義清たちと向かい合う形で
木の鎧と武器を手に集まっている。
村人は突然の騒動と来訪者の容姿を、主に顔の骨がむき出しの義清のせいだが、
あちこちで声をあげて騒いでいる。
そんな村人たちのいち団の真ん中にいた村長が
数歩前にでて、村に入ってきた義清たちに声をかけた。
「そ、村長のゾンダだ。約束通り少数で来たことにか、感謝します」
「私が先程も言った、ゼノビアだ。こちらが東の地の長、義清様だ」
義清は東の地の長などという言葉に戸惑った。
そんな事ははじめて聞いたがゼノビアが村に声をかける時に言ったのだろうと、
意を組むと村長に声をかけた。
「義清だ。まずは友好的な交流の場を持てたことに、こちらも感謝の意を現したい」
義清の後ろに控えるラインハルトが手を上げて合図すると
ボア族の戦士が歩み出た。
戦士は両手で大きな布袋を1つ抱えている。
戦士はその袋を村長の間近に置くと、一礼して刃物を取り出すと袋をあけた。
中には銀の塊が大量に入っている。
戦士はそれが村長の後ろに控える村人にも見えるように袋を大きく切り裂いた。
大量の銀の塊が袋からこぼれ落ちて、村人どよめいた。
そのどよめきに負けない様に義清がやや声を大きくしながら村長にいう。
「感謝は形にする方がいいと思い持参した。ゼノビアが渡した先程の小さい布袋は
村長個人への感謝として収めてもらいたい。村全体にはこちらを進呈しよう」
村長が足元に広がる大量の銀に圧倒されながら言った。
「あ、ありがとうございます。これほどの銀を頂けるとは。
しかし、これほどの銀、私達だけではとても捌ききれません」
「まあ、そのへんはこちらも手を貸そう。ともかくワシらは異界より来た身だ。
右も左もわからない状況にある。それらの授業料や迷惑料とでも思って受け取ってもらいたい」
「そういうことでしたら、こちらも少しはお役に立てるかも知れません。
あ、ありがたくいただきまます」
村長は突然の来訪者への対応と降って湧いた幸運に冷や汗を流しながら
義清たちと交流を持つことに同意した。
再びボア族の戦士が村長の前に出る。
今度は一人ではなく数人だ。
戦士たちは大きく裂けた銀が入った布袋を、別の大きな袋に移し替えていく。
わざと裂けた方の袋を少し高く上げて、大きな袋に銀が移し替えられていくのを
村人に見えるようにする。
村人はそれを見ながら産まれて初めて見る大量の銀に口々に歓声をあげる。
村人が銀に注目する中で義清は村長に訪ねた。
「さて、では簡単でかまわんのでここがどういう場所か教えてもらえんだろうか?
赦免の村とは随分とかわった名前の村よの」
村長はこのラビンス王国が、いわゆる世間でいわれるラビッシュ王国といわれる様に
なるまでの経緯を義清に話した。
義清は村長が話し終えるまで黙って聞いていたが、話の終わりに
「祖父と父親がやったことを自分一代で無かったことにするとは余程の無能よの」
と、感想を漏らした。
そして続けて村長に尋ねる。
「この地が大陸の東に位置していること、ラビンス王国の落ちぶれはわかったが
なぜ、この村が赦免の村と呼ばれているのだ?」
村長は一瞬だけ苦虫を噛み潰したような嫌な顔をしたが、理由を話し始めた。




