曇時々雨
大雨の梅雨、夕立に憂鬱
むせかえる臭いのアスファルトは偏屈に鼻孔を刺激する。
大粒の雨が地面を叩き、あっという間に服を重く温く濡らし、それまでの情熱も共に冷めていったもんだ。
天気予報は曇り時々雨、時には陽が射すところもあるでしょう。
予報は予報だ。土砂降りであるってことを除けば、当たってるっちゃ当たっているか
通りに駆ける人、傘に鞄を雨よけ代わりにひた走るそれは、足下まで守ってくれちゃいない。
なにも持たない僕はただ帰り道を急ぐのだ。
どうせ、なんで、どうして、陽は隠れ
僕の波紋は一つ、二つ
蹴り上げた足に自ら被るさざ波
前は見えねえ、後ろから追いかけるのはなんだ、お前か背後霊
大海の道路、ひぐらしも黙祷
考えるに飽きた電光掲示板は愚直に結果を繰り返す。
大粒の嘆きが水面を叩き、あっという間に足を重く冷たく濡らし、それまでの速度も共に落ちていったもんだ。
天気予報は曇り時々雨、ところによって驟雨が襲うでしょう
予報は予報だ。降り続けているってことを除けば、当たってるっちゃ当たっているか
雨宿りする人、滴る水を必死にぬぐいで見上げるそれは、意味なんてあるわけがない。
なにも持たない僕はただ帰り道を急ぐのだ
どうせ、なんで、どうして、雨に濡れて
僕の叫びは一つ、二つ
張り上げた声に自ら唸る山びこ
前に飛ばねえ、後ろから追いかけるのはなんだ。お前か背後霊
こんな雨じゃ、こんな声じゃ、誰も気づかない
こんな雨じゃ、こんな涙じゃ、誰も気づかない。
頬を伝う雨が、震える肩が、周りが大雨じゃ気づくもんもきづかねえよな
周りも一緒、違いなんてなかった、ただ僕はそれでも走るしかなかった。それが唯一の違いだ
なれて、それで、こうして、陽が射して
僕の涙は二つ、一つ
息切れた顔に自ら浴びる夕焼け
前に見えたぜ、後ろを振り向けばなんだ、消えたか背後霊