私に謝ったって、仕方ないでしょ?
衝撃の展開の真相です。
日曜日はとっても楽しかった。きっと最初で最後のデート。
買ってもらった髪飾りは、私の大切なもの箱にしまっておいた。引っ越しの時に無くなったら嫌だからね。本当は髪につけたところを見て欲しかった。
週が明けて月曜日の放課後。いつものように友ちゃんとお話。
「で?昨日はどうだったのよ?」
「え?えっと・・・。」
いきなり?それ聞いちゃうの?
「・・・はぁ、その感じだと・・・。」
「・・・手をつないで、お祭り、まわったよ?」
いやだ、顔が火照ってきちゃった。
「それだけ?」
「うん、そう。」
それだけって。すごく楽しかったもん。ちょっとひどいよ。
「好きだとか言わなかったの?」
「うん。言ってないよ・・・。」
「・・・そう・・・。」
「・・・うん。」
「まぁ、あきがそれで良いなら、いいけどね。」
「・・・うん。」
そう、これでいいの。あと二週間しかないから。
竹中くんと友ちゃんと、あと杉田くんたちとも、仲良く楽しく過ごしたい。
「あのね?でね?お祭りの前に四プラでね?」
「あ・・・。」
え?どうしたの友ちゃん?
「あの、東山さん。」
た、竹中くん?
「あ、竹中くん。昨日は楽しかったね。」
大丈夫。いつもと同じ感じでお話しできてる。
「うん、楽しかったね。」
どうしたのかな?いつもと違う表情の竹中くんだよね?。
「・・・えっと?」
「あ、そうだ。あき、私、先生に呼ばれてるんだった。ごめんね?ちょっと待っててくれる?」
友ちゃんっ。なんでこのタイミング?
「え?ちょっと、そうなの?」
「うん、じゃ、竹中くんも、あとでね。」
「えっと、うん、あとでね。」
「あの・・・なにかな?」
なんだろう?すっごくドキドキする。
「えっと、あ、昨日はありがとう。」
ドキドキが止まらないよ。
「ううん、こっちこそ。買ってもらっちゃって。ありがとう。」
私も、何か買ってあげたかった・・・。
「いや、そんなことはいいんだよ。」
何だろ。すっごく、ドキドキする。それに、竹中くんの顔、ちょっと怖い。
「あの、東山さんっ。」
「はいっ。」
「本当は、昨日、言いたかったんだ。でも、言えなかった。」
えっ、イヤだ、何言おうとしてるの?
お願い。言わないで。
きっと、それって私が聞きたかった言葉なの。
でも、聞きたくない。
胸が締め付けられるみたいに苦しいよ。
「・・・・・・」
「俺、東山さんのことが・・・・・」
ダメよ・・・
「・・・・・・・うん。」
「・・・・・東山さんが・・・・・・」
私も・・・好き。
「・・・・・・」
「・・・・好きなんだ。」
イヤだ。恥ずかしくて、嬉しくて。大好きな竹中くんの顔を見てると涙が出ちゃうよ。
「・・・・・・」
「・・・・俺と・・・付き合って・・ください。」
どうして?どうして今なの?
なんで、転校なんかしなくちゃいけないの?
やっぱり、転校しなきゃいけないの?
彼の気持ちを聞いてしまった今、どうしたらいいの?
でも、私はもう、決めてしまった。もうどうすることもできない。
彼の気持ちを聞く前に、転校することを決めちゃった。イヤだ。どうして?
けど、彼の気持ちを知ってても、私は、きっと今と同じ選択をしたと思う。
私のわがままで、お父さんとお母さんに迷惑はかけられないもん。
でも、何この気持ち。今からでもやっぱりこっちにいられないのかな?
ううん、そんなこと無理なのは分かってる。わかってるよ・・・
私は、竹中くんのことが好き。大好きです。今まで、こんなに誰かのことを好きってはっきり思ったことないよ。
彼からの告白。好きだって言ってくれた。
私も言いたい。『私も竹中くんが好きだよ。』って。あの時から。動物園に行ったも。花火大会の時も。そして、昨日のデートの時も。
ずっと、竹中くんのことが好きでした。
でも、言えない。もう、今になってそんなこと言えないじゃない。今さらよ?こんなに、こんなにうれしいのに、なんでこんなに後悔するの?私は間違ったんだ。彼との付き合い方を。
もっと、もっと、早く。私から言うべきだったんだ。好きだってこと。だって、好きだったんだから。転校しちゃうっていうことも。きっと彼は分かってくれた。
そしたら・・・こんなことには・・・ならなかったのに。竹中くんに、辛い思いをさせなくて済んだはずなのに。ごめんなさい。竹中くん。私のせいで、イヤな思いをさせちゃう。
本当に・・・ごめんなさい・・・竹中くん。でも、大好きだよ。お付き合いしたかったよ。
「・・・・ごめん・・・なさい。・・・私・・は、竹中くんとはお付き合いできない。」
ごめんなさい。
私、もうダメ。
そう思ったとき、カバンをもって教室から逃げ出していた。
私は教室から逃げたの?彼から逃げたの?それとも私から逃げたかったの?
友ちゃんが私を呼ぶ声が聞こえたけど、止まれない。
一気に、走った。周りから見たら絶対変な子に見えたと思うけど。気が付いたら友ちゃんに転校を打ち明けた公園まで走ってきてた。何も考えてなかったと思うけど、ここに来ちゃったんだね。
「あきっ」
友ちゃん?
なんでここにいるってわかったの?もうダメ。学校にいる時からずっと我慢してきた。でも、もう限界だよぉ。
「友ちゃん・・・なんで?なんで、こんなことになっちゃうの?」
「あき・・・私も聞きたいよ。どうしてあんなこと?」
「だって・・・わたし、あと一週間くらいしか札幌にいないんだよ?家なんかもう、ほとんど荷物ないいんだからっ。そんな状態で、どうやってお付き合いしていくの?」
「だけど、だけどっっ。他の言い方もあったじゃないっ。」
そうかもしれないけど・・・
「でも、なんて言えばよかったのよっ」
「本当のこと、言えばよかったのよ。竹中くんは分かってくれるよ。このままじゃ・・・悲しすぎるじゃないっ」
きっと、友ちゃんもいっぱい我慢してたんだ。だから、私のために泣いてくれてる。
「う・・うぅ・・・。ごめんね。友ちゃん。」
「私に謝ったって、仕方ないでしょ?」
ううん、友ちゃんはいつも私の味方でいてくれた。
私には、たくさんのチャンスがあったのに、それを逃したの。
けど、いまさら時間は戻らない。あと、二週間弱。彼と今まで通りに接して行けるとは思えない。あんな風に逃げ出しちゃったんだから、彼はきっとすごく傷ついたはず。
あんなに楽しかったのに。昨日はあんなに幸せな時間だったのに。
でも、これで、私のことを嫌いになってくれたなら。
竹中くんをこれ以上傷つけなくて済むのかもしれない。
「ごめんね。友ちゃん。」
「竹中くんに、今から、ちゃんと話しに行こう?私も協力するから。ね?」
「ありがとう。友ちゃん。でも、やっぱりこのままで。」
「どうして?好きなのに?ちゃんと両想いなんだよ?」
「うん、嬉しかった。竹中くんが私のことを好きでいてくれて。だからこのまま。」
「わからないよ、あきの考えてる事が。」
「もしかしたら、今日のことで竹中くんは、私のことキライになるかもしれないじゃない。」
実際に口に出してしまうと、すごく苦しい。
「どういうこと?」
「そうなったら、彼が・・・これ以上・・・ううぅ・・・傷つかない・・・」
「馬鹿っ。こんな時までそんなこと考えなくてもいいのよっ。彼には、私から伝えてくるよ。あきも本当は竹中くんのことが好きだって。でも、来週には転校しちゃうから、だから、断ったんだって。今、こんな終わり方しちゃったら、ずっと後悔するって。」
「ううん、これは、私に与えられた罰。彼に嘘をついてきたから・・・」
「・・・・・・ごめん。私も、言うべきだった・・・」
「なんのこと?」
「私、花火大会の日に、杉田くんと会ったの。あきたちを二人で花火大会に行かせたかったから。それで、その時に杉田くんから聞いてた。」
え・・・。何それ?聞いてたってなんのこと?
「ごめん、あき。」
え?どういうこと?
「わかんないよ、友ちゃん。どういうこと?」
「私、杉田くんに確認したの。竹中くんの気持ち。だから・・・。」
そうなんだ。知ってたんだ、友ちゃん。ありがとう。そこまで私のことを思ってくれて。杉田くんもありがとう。
「ありがとう、友ちゃん。教えてくれて。私、やっぱり、今のままでいいと思う。竹中くんとは今のままで。」
「・・・・・・」
「手紙、書くことにする。私の本当の気持ち。ちゃんと彼に伝える。だから、ね?本当にありがとう。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
東山さんにとっても辛い結果だったわけです。
彼女の後悔。
良かれと思っていたことが全て裏目に出てしまった瞬間。
絶望感でいっぱいだったでしょう。
竹中と東山さんの本当の思いがわかったところで、元の時間の流れに戻ります。
竹中目線からの話。
フラれた後の話。
竹中・東山編の結末まであと2章です。
ご意見、ご感想お待ちしております。




