馬鹿なんじゃないの?
前回の衝撃のラスト。
どうしてあんなことになってしまったのか?
その理由が徐々に明かされていきます。
四月四日。
日之出ヶ丘中学校に入学。でも、ここの中学校って制服があんまり可愛くない。隣の九条中学校だったら可愛いセーラー服だったのに。でも、小学校の時から仲良しの友ちゃんと一緒だから許してあげよう。
そんなことよりも、今日はすごいことが起こった。入学式が終わったばっかりの教室に、おっかない先輩が入ってきた。誰かを呼んでたけどよくわかんない。そんなことよりも、隣の男子がその先輩に立ち向かっていったの。何考えてるんだろうって思った。先生がすぐに来たから何でもなかったけど。こんな男子が隣なんて最悪。イヤだなぁ。
でも、帰りに友ちゃんと話したら変なこと言ってた。あの男子はクラスの女子を助けたんだよって。でも、ケンカする男子なんてキライ。
四月六日
隣の男子が学校に来た。昨日は休んでた。きっとサボってたんだよ。ヤンキーなのかもしれない。隣の男子は竹中っていうみたい。で、杉田くんっていう男子と話してた。あの男子って中学校から大阪から北海道に来たって言ってたのにもう仲良くなったの?どういうことなんだろう。よくわからないけど、竹中はクラスに受け入れられたみたい。どういうことなのかな?先生もなんだか怒ってないみたいだし。竹中ってどういう人なんだろう。
四月十日
今日はクラス委員を決めた。私はお母さんみたいな看護婦さんになりたいから保健委員になった。よぉーし、頑張るぞ。でも、竹中が学級会長になった。なんで?あんな怖い人なのに。杉田くんと栗林さんが推薦してそのまま決まっちゃった。なんか変な感じ。副会長は玉置さん。玉置さんは小学校の時から知ってる。すごく頭もよくて綺麗な人なんだよね。玉置さんが会長をやればよかったのに。なんで玉置さんと竹中が仲いいんだろう。そりゃ、竹中は玉置さんのことを助けてあげたのかもしれないけどさ。あんな人と仲良くなるなんて玉置さんもどうかしてるんじゃないかな。
四月二五日
すごいことを聞いちゃった。玉置さんと竹中が付き合ってるって。ウソでしょ?仲が良さそうとは思ってたけど。なんでも一緒に帰ってるとこを見たって人がいたみたい。しかも、帰り道でイチャイチャしてたんだって。なんか、玉置さんも思ってたような人じゃなかったのかなぁ。あんなに完璧な感じの人だったのに。ちょっと玉置さんにはあこがれもあったから残念。
五月九日
今まで私って何やってたんだろう。何を見てたんだろう。私って駄目な子だ。今までひどい奴だと思ってた竹中くん。良い人だった。それもすごく。
今日の給食時間に戻しちゃった男子がいたんだけど、みんなが騒いでいる中、新聞紙とかバケツとか持ってきてちゃんと処理してた。普通の男子ってそういうことしないよ。私は保健委員だからそういうの仕事だし。ちゃんとやらなきゃって思ってやってたけど。なんか竹中くんはそういうこと考えないで人のために動ける人みたい。そしてこんなこと私に言ったの。『東山さんって、本当に優しい人なんだね。保健委員だからってすぐにできることじゃないと思うんだ。すごいよ。』って。褒められたくてしたんじゃないけど、そう言われて正直ドキッとした。だって、耳元で言うんだもん。
その話を友ちゃんにしたら、『やっと気が付いたのね』って言われちゃった。あ、でも耳元で言われたことは内緒。これは友ちゃんにも言ってない。なんか、今思い出してもドキドキする。何なの?これ。
五月二十一日
今日はオリエンテーリングの班決めがあった。私は友ちゃんと一緒が良かったんだけど、友ちゃんはもう他の人と班を組んじゃってた。あとでごめんねって言われたけど、ちょっと寂しかった。誰と一緒の班になろうかなぁって思ってたら京子ちゃんが独りぼっちだったから、一緒の班になろうって言った。あんまりいい返事じゃなかったけど京子ちゃんはそういうの苦手な人だから仕方ない。うん。でも、でもっ。それよりも竹中くんとおんなじ班になっちゃった。やった~。この前の時から話はあんまりしてなかったけど、やっぱり優しい人だと思う。それに、学級会の進行も上手だし、普段の様子見てるとすごい人だなって思う。何と頭もいいし、運動もできるんだよ。すごいなぁ。私はどっちもあんまり得意じゃないからなぁ。もうちょっと頑張らないとダメかな。
あ、それから別のニュースもあった。私は今日知ったんだけど、実花ちゃんと杉田くんって付き合ってたんだって。びっくりだよ。どうやってあの二人仲良くなったんだろう?今度実花ちゃんに聞いてみようかなぁ。そう言えば、またこの話も聞いた。竹中くんと玉置さんが付き合ってるって。そっかぁ。やっぱり、玉置さんは人を見る目があるんだよね。私は全然かなわないや。
五月三十日
今日はオリエンテーリングだった。森の中を歩いてるときはほとんど竹中くんとお話ししてたよ。やっぱりいい人だよね。それから、玉置さんの班が遭難したの。ビックリしちゃった。だって玉置さんだよ?そんなことになるなんて思ってなかった。竹中くんはやっぱり彼女さんのことを心配してるのかなぁって見てたら、案の定、探しに行くって言って言っちゃった。杉田くんと。ちょっと玉置さんが羨ましい。私もそうなったら竹中くんは来てくれたかな。ちゃんと見つけて帰ってくるところがさすがよね。心配して損した。
今日はもっといろいろお話したかったのになぁって思って帰りのバスに乗ってたら、竹中くんが私と話したいって。ビックリ。しかも、森の中で話してて途中になってた話とかちゃんと覚えててくれてた。竹中くんは会長さんだから他のこともいっぱいやってるのにスゴイ。それで、さらにあの時のことも覚えていてくれてた。私のことを『かっこよくて優しい人』って言ってくれた。でも、それって竹中くんのことだと思うな。明日から、もっといっぱいお話してみよう。
六月二十二日
期末試験。ダメだったぁ。竹中くんに教えてもらったりもしたのに。それにしても竹中くんと杉田くんってすごく頭いい。今までも頭はいいんだろうなぁって思ってたけど、ちょっと私とはレベルが違い過ぎて笑っちゃいそうになった。竹中くんは四位で杉田くんは学年二位だったっけ。私は、今度頑張ります。
そんなことよりもっ。今日は大事なこと書かなきゃだめだよ。
夏休みに遊びに行こうってことになりました。竹中くんと。えっと、二人じゃないけど。たぶん杉田くんとかも一緒。私は友ちゃんと一緒に行きたいなぁ。あ、でも実花ちゃんに言わないと怒られちゃうかなぁ。明日、その話してみようかなぁ。どこ行こうかなぁ。海かなぁ。山かなぁ。あ、でも結構遠いから近くでもいいよね。近くだったら動物園とか行きたいなぁ。子供っぽいって言われるかな?
七月一日
今日実花ちゃんに話してみた。もしかしたら夏休みに竹中くんたちと遊びに行くかもって。その時に杉田くんも一緒かも知れないけど良いって。そうしたら驚きの返事が返ってきたの。いいよって。杉田くんから聞いてるよって。で、一言、言われちゃった。『竹中くんのこと好きなの?ってそれならいいよ。』だって。いやぁそんなはっきり言われたら恥ずかしい。うん、私好きなんだと思う。それよりも、次の一言は良かったなぁ。『翔のことが好きなら絶対に許さなかったけどね。』だって。
でも、やっぱり気になることがあるんだ。それは玉置さんのこと。あの二人って本当にお似合いだと思う。だから、私はそんな二人の仲を裂いてなんてことはできない。玉置さんもお友達だし。だから、その日だけでも楽しく遊べたらうれしいなぁって。私ってズルイかな。
七月二十三日
明日で一学期が終わります。長かったぁ。明後日は竹中くんたちと動物園に行くことになりました。やったね、行きたかったんだ、動物園。いろいろ準備しないといけないよね。みんなも準備してるかなぁ。あれ、準備って言っても服くらいかも。あぁ、でも、通知表見たくないなぁ。あんまりテスト良くなかったから、きっとよくない評価だよ。二学期は頑張らなくちゃね。
はぁ。一学期に書いた日記を斜め読みしてみたんだけど・・・結構恥ずかしいね。私って初めの頃は竹中くんのこと嫌ってたんだなぁ。ちゃんと友ちゃんの言ってること聞けばよかった。それに、なんか、竹中くんのことばっかり書いてるし。いやぁ。ハズカシイ。
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今日は夏休み前日です。そして、一学期も終わりました。夏休みは宿題がいろいろあるけど、楽しい夏休みになるといいなぁ。そして、明日は、ついに、ついに、竹中くんと遊びに行く日ですっ。何着ていこうかなぁ。夏と言えば、浴衣?あれ?ちょっと違うかも。
楽しいことの前の日ってなんで寝られなくなるんだろうね?いろいろやることあるからかなぁ?そうそう、明日の準備しないとね。何持っていったらいいかなぁ。お弁当とかいるかなぁ?それより何着ていったらいいかなぁ。あ、お気に入りのワンピがあるんだよねぇ。あれって、どこにしまってたんだっけ?
「明奈。ちょっと話があるからこっちに来なさい。」
あれ?お父さんが呼んでる。どうしたのかな?なんか深刻そうな声だけど。
うそ?嘘だよね?
「お父さん、それって、本当?」
「あぁ、まだ決定じゃないが内示が出てるんだ。お母さんには昨日話したんだが。夜遅かったからな。お前には今日、話したんだ。」
「・・・それって、いつなの?」
「遅くて年末までには。だが、たぶん十月からだ。きっと九月末に引越すことになると思う。こんな中途半端な時期で申し訳ないんだが。」
十月から宇都宮に行くの?
今って七月末だよ?
もう、二か月しかないじゃない。
そんな・・・。やっと竹中くんとも仲良くなれてきたのに。
嫌だ、絶対に転校したくない。みんなと会えなくなるなんてイヤ。
竹中くんと会えなくなるのなんてイヤだ。
「どうしても転校しないとダメ?」
「あき?お父さんを困らせるんじゃありません。」
「お母さん、明奈にだっていろいろ事情があるだろう。そんな言い方したらダメだろう。」
「けど、お父さん・・・」
「明奈?どうしても転校したくないなら、お父さん、単身赴任ということも考えてたんだ。お前がどうしても転校したくないというなら・・・」
「・・・ぐすっ・・・転校したくない。・・・・転校したくないよぉ~~~。うわぁ~~~ん。」
絶対嫌だ。転校したくない。札幌にいたい。宇都宮ってどこなの?そんな街、聞いたことないよぉ。北海道じゃないって。絶対みんなと会えなくなっちゃう。竹中くんに会えなくなっちゃう。
「・・・・・・・・」
そんなのイヤだ。これ以上この話は聞きたくない。部屋に戻ろう。
「・・・・あき?」
「お母さん。」
首をゆっくりと左右に振るお父さん。
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昨日はそのまま寝ちゃった。で、今日は、竹中くんと初めて遊びに行く日です。すっごく天気もいい。
でも、私の心は晴れてない。なんで、転校なんだろう。転校しないですむ方法ってないのかな。お父さんは単身赴任でもいいって言ってたし、それなら転校しないですむはず。でも、それって、お父さんが一人になっちゃうってこと?お父さんは、毎日朝早くからお仕事に行って夜遅く帰ってきてる。お母さんがいなかったら・・・。
「あき、おはよう。」
「おはよう、お母さん。」
「昨日の話だけどね?」
「ごめん、お母さん。帰ってきてからにして?」
「でも、あき・・・。お父さんも・・・。」
「うん、わかってるよ。そんなことがわからないほど子供じゃないよ。」
「・・・そう・・・」
「・・・うん・・・」
小学校の時も転校しちゃう友達、いたもん。大丈夫。あと二か月もあるんだ。その間に、いっぱい楽しい思い出を作ればいいんだ。そのために、これから毎日を楽しく過ごそう。きっと大丈夫。絶対泣かないっ。
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友ちゃんと待ち合わせ。友ちゃんの家は私の家の近く。一緒に地下鉄の駅に行く約束をしてる。友ちゃんの家に行ってそれから一緒に駅に向かう。大丈夫。みんなと会ったらきっと笑えるもん。
そんなこと考えながら一緒にあるいているとき、友ちゃんがこんなこと言った。
「ねぇ、あき。竹中くんのこと、好き?」
今までは憧れもあったけど、優しくて、頭もよくて、カッコいい竹中くんが好き。
でも、竹中くんと玉置さんはすごく仲がいい。そして、竹中くんは玉置さんのことが好きなんだと思う。学級委員の時の二人を見てるとすごくお似合いだと思う。付き合ってるっていう噂も聞いたし、一緒に帰ってるとこを見たって人もいるし。だから、私の入る余地なんてない。だって、玉置さんは可愛いし、頭もいいし、優しいし。私にはかなわない。
でも・・・でもっ。
「うん、好き。」
「随分、考えてたね。」
「そっかなぁ・・・うん、そうかも。だねっ、結構考えた。」
「やっと、はっきり言ったよね。今まで、ずっとそうじゃないかって思ってたんだよ?」
「うそ?なんで?」
「はぁ~、あきってさ。結構わかりやすいよ?」
友ちゃん、深いため息つかないでよ。
「そうかなぁ。そんなことはないと思うんけど。」
もう自分に嘘はつかない。私は、竹中くんのことが好き。
そう決めたのは、きっと、昨日の夜のせいだ。
「そっか。じゃぁ、今日は楽しまないといけないねっ」
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みんなで円山動物園に。みんなでいると楽しい。竹中くんはいつも通り。すっごい知識なんかも披露してくれた。杉田くんは、えっちい話とかしてたけど、友ちゃんがこわぁい目をしてたら静かになっちゃうのが面白い。四人でのお出かけだけど、竹中くんと一緒にいたらデートしてるように見えるのかなぁ。
うん、大丈夫。わたし、ちゃんと笑えてるよね。
楽しい時間はあっという間にすぎちゃう。もうちょっと遊んでいたかったけど、友ちゃんが親戚の家に行かなきゃいけないからって、帰ることになっちゃった。でも、仕方ないよね。今日はこれで終わってもいいよね。
イヤだ。これで終わりなんてイヤだ。今日から夏休みだもん。明日から、竹中くんに会えるかどうかわからないじゃない。何とか会えないかな。何でもいい。何でもいいから、また会える方法ないかな。もうすぐ、地下鉄が駅に着いちゃう。何か、何か思いついてっ、私っ。
「あ、あのね。来週の金曜日なんだけど。豊平川の花火大会があるんだよね。それで、あの、都合が良かったら・・・でいいんだけど。一緒に行かない?」
良かった。間に合った。ギリギリだったけど。
しかも、竹中くんに向かって言っちゃった。お願い。ダメって言わないで。二人で行こうなんて言わないから。
「俺は多分大丈夫。」
やったぁ。嬉しい。これで、また、竹中くんに会える。
「私は、たぶん大丈夫だと思うけど。」
ありがと、友ちゃん。大好き。
「俺も問題ないと思うよ。」
うん、杉田くんも一緒に行こうね。
「そっか、良かった。」
良かった。まだみんなと一緒にいられる。そう思ったら、涙が出てきそうになっちゃう。ダメ、こんなとこで泣いたら変な子だと思われちゃう。。
「それじゃ、また連絡するねっ。」
これ以上は無理だよぉ。
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友ちゃんと二人での帰り道。やっぱり涙が出てきちゃった。みんなには見られなかったよね。
「ねぇ、あき?どうしちゃったの?」
「・・・・なんでも・・・ない・・よ。」
やだ、今は声かけないで。
「ちょっと、あき?」
後ろから友ちゃんに肩を掴まれて無理やり振り向かされた。
「なんで?なんで泣いてるの?」
「・・・うぅ・・・友ちゃん・・・うわぁ~~ん。」
やっぱりダメだった。友ちゃんと二人になったら我慢できなくなっちゃった。
「どうしたの?」
友ちゃんは帰らなきゃって言ってたのに、公園で話を聞いてくれてる。
「友ちゃん、帰らないとダメなんじゃないの?」
私も、少し落ち着いてきた。
「そうだけど・・・。泣いてるあきのこと、ほっとけないっしょ。」
「えへへ、友ちゃんは、やっぱり私の親友だよ。」
「そうだよ?私はあきの親友。あきは私の親友だよ?」
「うん、うれしい。ありがと。」
「ううん、そんなこといいの。それで、なんで泣いてたの?」
「うん・・・実は・・・」
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「転校?いつ?十月?もうすぐじゃない?嘘・・・うそでしょ?」
そういうと友ちゃんも泣いちゃった。私も泣いちゃった。だって、友ちゃんが泣くんだもん。 私だってもう耐えられないよぉ。しばらく、二人で抱き合って泣いちゃった。
「わかった。大丈夫。私に任せて?」
いつもの冷静な友ちゃん。
「え?なにを?」
「竹中くんのことに決まってるじゃない。あきと竹中くんをくっつけてあげる。」
くっつける?お付き合いするってこと?竹中くんが私の彼氏になるってこと?私が竹中くんの彼女になるってこと?ううん、嬉しいけどそれはダメ。私は、もうすぐいなくなっちゃう。だから、お付き合いはできない。
「友ちゃん、ありがとう。でも、私、竹中くんとお付き合いできないよ。」
「なんで?何言ってるの?好きなんでしょ?だから花火大会にも誘ったんでしょ?」
友ちゃんがまた泣いてる。
「うん、好き。大好きだよ?でも、だからお付き合いできないの。」
「全然わからないよ。どうして?好きだったら、一緒にいたいって、少しの時間でも一緒にいたいって思うんじゃないの?なんでそんなこと言うの?竹中くんだってきっとそうだと思うよ?」
竹中くん。できるなら一緒にいたいし、いっぱいお話ししたい。
でも、それはダメ。今のまま。とっても仲のいいお友達のまま。そのほうがきっと傷つかないですむもん。竹中くんも。玉置さんも。そして、私も。
「竹中くんは、玉置さんのこと好きだと思うから。私なんかじゃ、竹中くんとは釣り合わないから。」
「あんた、それ、本気で言ってるの?」
「・・・うん。」
「馬鹿なんじゃないの?玉置さんのことなんか関係ないじゃない。大体竹中くんだって・・・」
「そんなことないよ。玉置さんも私のお友達だもん。」
「でも、私は・・・そうは思わない。」
「いいの。ありがとう、友ちゃん。みんなで遊びに行けるってだけで楽しいもん。友ちゃんとも夏休みにまた会えるじゃない?」
「バカ。私はいつでも会えるよ。えっと、明日からしばらくは無理だけど・・・。」
「うん、だから大丈夫。ね?だからこのことはみんなには内緒。誰にも言わないでね。」
特に竹中くんには。
「うん、わかったよ。」
「ありがと。ごめんね。帰らなきゃいけなかったのに。」
いつの間にか暗くなってきてる。
「ううん、教えてくれてありがと、あき。」
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「ただいま~。」
「おかえり、明奈。」
「お、お父さん?おかえりなさい。今日は早かったんだね。」
「あぁ、ただいま。今日はな。早く帰れたんだよ。」
「じゃ、一緒に夜ご飯だね。あ、ちょっと着替えてくるね~。」
「あぁ。」
やっぱり、お父さんとお母さんに迷惑はかけられないよね。
「ねぇ、お父さん。」
「ん?なんだい?」
「みんなで、宇都宮に行こうね。」
「明奈・・・」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
日記として東山さんの心の推移を見てもらいました。
うーん、なるほど・・・といったところでしょうか。
それにしても、突然の転校で・・・辛いことになっています。
けど、彼女なりに選んだ道です。
理由がわかってしまうと前章ラストの意味も分かってきます。
ここからはすれ違う悲しい恋心を描いていきます。