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プロローグ

一話一話で視点を交互に変える都合上、一話が短めになっております。

また、ルビを多用する可能性があります。


Side:boy



 朝起きるとそこはまさに地獄だった。


いつか見た悪夢のような、話に聞く奈落のような。

どこまでもどこまでも続く永久の地獄となっていた。

父さんは帰ってこないで、母さんは慌てふためいていた。

「大丈夫。父さんはすぐに帰ってくるから」

「何も問題ないわ」

次々に口にされる母さんの言葉は幼い俺よりむしろ母さん自身に向けられていた。

何でだろう。

誰も間違ったことをしていないはずなのに誰も正しいことが出来ないのは。

炎が上がる家に誰かを助けに行き、そのまま帰らぬ人がいる。

だれかを逃がそうとして、自分だけが助かってしまった人がいる。

様々な感情の坩堝るつぼと化した世界では何一つ救いなどありはしなかった。



それでも、俺にだけは救いがあった。

父さんが来ればすべてかたがつく。

そう信じて地獄の中で耐え続け、いつの間にかに生き延びていた。


父さんは帰ってこなかった。

父さんが負けることなど想像もしていなかった。

それでも、

俺も段々大きくなりこの世に無敵なんて物がないと知っていき。

それが、たまらなく悔しかった。


そんな一つ一つの悔しさをバネにして、俺は今日という日まで生きた。

あと一歩踏み出せば俺はもう引き返せない。

それは馬鹿みたいに愚かな話。

悪夢よりも過酷な現実。

それでも俺は新たな一歩を追い求め「新文化教育法人 パンドラ学園」校門前に立っている。



__________________________________________

Side:girl


 朝起きるとそこは魔法の国になっていた。

お母さんが話してくれるお伽噺のような、本に出てくる不思議な世界のような。

素敵な素敵な魔法の国になっていた。

お父さんとお母さんが慌てていた。

ううん、どこでも誰でも。

「大丈夫だよ」

「心配ないからね」

って口々に言う。

何でだろう。

こんなに素敵な世界になったんだからもっと喜べばいいのに。



何も知らなかった私は幼心にそんなことを考えた。

私も段々大きくなって、それがどんなに大変なことか少しずつ知っていき。

それでも、なんて素敵なんだろうと思った。




そんな小さなドキドキを積み重ね、私は今ここにいる。

あと、一歩踏み出すだけで私は魔法使いになれる。

それは嘘みたいな本当の話。

夢よりも素敵な現実のこと。


万感の思いを胸に秘め私は「新文化教育法人 パンドラ学園」校門前に立っている。



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