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バニラアイスは雪のよう

作者: わたし

全く嫌になるよ。


渋々外に出て買い物へ出かければ雨が降り出した。傘なんて持っていない。


せめて雪なら良かったのに。


憂鬱だ。ただでさえ冬間近で寒いのに。

こんな寒さの中びしょ濡れの見窄らしい姿になったら風邪を引いてしまう。

全くもって厄介だ。


元々どうしてこの寒さの中、嫌々渋々外に出て買い物へ出かけたかといえば、ただの罰ゲームだとかなんとかよく分からない分かりたくもない理由をつけられてアイスを買うことになったからだ。正直自分でも意味が分からない。炬燵で食べるバニラアイスは格別なんだと君は言った。だいたい何の罰ゲームだ。そして当の本人は炬燵で暖まって待っているという理不尽さ。


自分の不運さを憎むこと大概に、そろそろ家へ帰って炬燵で緑茶でも飲みながら暖まりたい。緑茶はもちろんホットで。


こんなことを考えていると目の前の現実に対して心が折れそうだ。早く帰りたいのに雨の所為で帰れない。止め、雨よ。

コンビニの肉まんが輝いているように見える。買おうか買わまいか。


不意に目の前が橙色に染まる。

太陽のような明るい色。傘。

なんだ、今日の主犯か。


傘を持たずに出ていった私を心配して追いかけてきたのか。君はそんなに気の利く子だったろうか。珍しい。


君は少し怒ったような顔をしている。

どうしたのかと聞くまでもなく、君は言う。


アイス、遅い。溶ける。

と。


言いたいことは分かる。けどもっと他に言うことないのかとかこの寒さならそうすぐ溶けないから安心しろとか言いたいことも色々あったけど寒くて思うだけしか出来なくて、それでいいやって思う自分もいて、だから君の手をとって真っ直ぐ帰ることにしました。


炬燵で食べる格別を、私にも分けてはくれませんか。



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