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消せない  作者: ココ
3/15

元婚約者の怒り



一条について行った先は一つの空き教室だった。


一条はゆっくりと振り返り言った。


「・・・なぜ戻ってきた?」


「なぜ?もともとその予定だったじゃない?留学は一年間、それが終われば学園に戻ってくるって。」

結衣子は笑顔でそう答えた。


「そうじゃない。俺はあのとき君に言ったはずだ。」


そのとき授業の開始を知らせるチャイムが鳴った。


「あら、始まってしまったわ。初日からサボりだなんて印象が悪くなってしまうわ。」


「言っただろう。」

一条は結衣子の言葉を無視しそう続けた。


「さっきからうるさいわね。あなたの言葉なんていちいち覚えてないわ。」

結衣子がわずらわしそうに言う。


「俺の前に二度と顔を見せるなと言っただろう!!」


「大きい声を出さないでくれるかしら?耳が痛いわ。昔はもっと優しくしてくれたじゃない。ずいぶん変わってしまったのね、あなた。」

結衣子は顏をしかめた。


「君だって変わっただろう。昔は・・・いや、君は変わっていないのか。俺が騙されていただけだ。

君は俺を裏切った。裏切り続けていたんだ。」

一条は苦痛に耐えるように手を握り締めた。


「・・・。」


「さぞ、おかしかっただろうな。君がほかの男と関係を持っていたのも知らず、君に笑いかける俺を・・・笑っていたんだろうな。ずっと、腹の中で馬鹿にしていたんだろう!!」


「・・・。」


「なんとか言ったらどうだ!」


結衣子は怒鳴る彼にゆっくりと近づき彼の手をとった。

「そんなに固く手を握り締めては血がでてしまうわよ。」


「さわるなっ!!」

バシッ

一条は結衣子の手を払いのける。


「もう痛いわね。乱暴なんだから。そんなんじゃモテないわよ。」

払われた手をさすりながら口をとがらせて文句を言った。


「黙れ!それに女になどモテたくもない。君のせいで女嫌いになったからな。」

顔を歪め吐き出すように言った。


「あら。それはかわいそうね。なら・・・私が直してさしあげましょうか?女嫌い。」

結衣子は一条の端正な顔に近づき妖艶な笑顔でささやいた。


ドンッ

一条は結衣子を突き飛ばした。

「・・・やっぱり君の本性はそれなんだな。もういい。・・・もういい。」


そうつぶやき一条は静かに結衣子を置いて出て行った。


残された結衣子はそれでもまだ笑みを浮かべたままだった.



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