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消せない  作者: ココ
2/15

悪女と友達



峰結衣子・・・ねぇ・・・。

見た目は清純そうなのに、これで遊びまくってるって噂だもんな。

人は見かけによらないってのは、本当なのかねー。


「・・・先生?神崎先生?」


「ん?」


「急に立ち止まってどうなさったんです?」


「おー、悪い悪い。考え事しちまってた。」


「そうですか。」

 

「もうすぐ教室だ。心の準備はできたか?」

並んで歩きながら神崎は峰にそう聞いた。


「ええ。もうできてますわ。」

控えめな笑顔で笑う彼女。


これが、噂の男を弄ぶ悪女ねー・・・信じられんな。


「よし、ここがお前のクラスだ。俺は先に教室に入るから俺が呼んだら

入ってこい。」


「わかりました。」


がらがら

教室の扉を開け入る。


「せんせー!転校生ってほんと!?」

「男!?女!?」

せんせー!せんせー!

テンションの上がっている生徒達が騒いでいる。

良いとこの坊ちゃん嬢ちゃんもこういう話題は好きらしい。


ばんばんっ

教卓をたたき静かにさせる

「はいはい、うるせーつうのお前ら。あと転校生じゃねーから。一年のとき

この学園にいたからなー。」


「え?だれだれ?」

「せんせー、はやく教えろよー!」


「今から紹介するっての。おい、峰入ってこいー。」


がらっ

扉を開け、背筋をのばし綺麗な笑顔をうかべクラスメイトの前に立つ結衣子。

「峰結衣子です。一年間留学していましたが今日からこの学園に戻りました。

これからよろしくお願いします。」


ざわっ

え、峰結衣子ってあの?

そうそう、あの噂の・・・

え!?まじ・・・


生徒がまたざわつき始めた。

まあ、無理もないか。峰結衣子の噂はひでえからな。

学園長の孫ってこともあるから

いじめられるなんてことは、ありえねーし家柄的にも取り巻きに

なりてぇーやつらは多いだろうから、ぼっちになることはなさそうだが。

っと、そろそろ静かにさせねーとな。

神崎が静かにさせようと、口を開いたとき・・・


「質問があるなら受け付けますわ。なんでもどうぞ。」

ざわざわしている教室が一気にシンとする。

峰を怒らせてしまったかと顏を青くしているものもいる。


「あら?気になっていることはたくさんあるでしょう。たとえば・・・

留学中の男遊びの噂とか、元婚約者とのこと・・・とか。」


ざわっ


おいおい。笑顔で何言ってんだよ。峰のやつ・・・。

神崎は峰の発言に驚いていた。


「そんなに睨まなくたってよろしいでしょう?元婚約者様。」

そう言う峰の目線の先にはものすごい目つきで峰を睨む

元婚約者・・・一条洸(いちじょうこう)がいた。


「久しぶりに会ったというのにずいぶんな態度じゃないかしら?」


「・・・。」

一条は峰を睨みつけたまま口を開こうとは、しない。



こほんっ

「あー、峰。知り合いと話すのは休み時間にしろー。」


「あら、申し訳ありません。神崎先生。」


そこでやっと生徒たちの肩の力が抜けたのか、安心したような顔をしていた。


「じゃー、峰の席は・・・戸田の隣の席に座れ。おい戸田、手挙げろー。」

神崎がそう言うと一人の女の子が手を挙げた。

その子の隣の席に結衣子が座ると・・・


「あ、あの・・・」

隣から声をかけられる。

さっき手を挙げていた子だ。


「わ、私戸田楓って言うの。こ、これからよろしくねっ!」

顔を真っ赤にしてはにかみながら自己紹介してくるボブカットが

可愛らしい小柄な女の子。


「ええ。よろしくね、戸田さん。」

結衣子が微笑ましい気持ちになりながらそう返すと、嬉しそうに笑った。




 


休み時間になると戸田楓が話しかけてきた。

「ね、ねぇ!結衣子ちゃんって呼んでも良いかな?」


「いいわよ。私も楓って呼んで良いかしら?」


「もっ、もちろん!私外部からこの学園に入学したから友達少なくて・・・」

 

「外部からってことは、特待生?」


「あ、うん!学園から奨学金もらえないと、とてもこんな高い所通えない

庶民なの。結衣子ちゃんは、お嬢様だよね?」

少し恥ずかしそうに言う楓。


「すごいわね。私も頑張らなくちゃ。」

庶民と聞いても嫌な顔一つしなかった結衣子に楓は嬉しくなった。


「結衣子ちゃ・・・」

「おい。」


後ろから声をかけられて振り返ると・・・

「戸田。そんなやつと話すな。」

一条洸が立っていた。


「い、一条くん?」


「こんなやつと一緒にいたらお前まで悪い噂が流れるぞ。」


「・・・。」

結衣子は何も言わずにただほほえんでいる。


「そんな言い方ひどいよ。それに、結衣子ちゃんは悪い人じゃ・・・」

あまりにもひどい一条の言葉に楓は言い返す。


「お前はこいつの本性をしらないだろっ!!」

一条は声を荒げた。


「・・・いい加減なさったら?彼女に怒ったって仕方ないでしょう。

私に話があるんでしょう?」


「・・・フンッ!ついてこい。」


一条の上からな物言いに呆れつつも、席から立ち上がる結衣子。


「ごめんなさいね、楓。ちょっと話してくるわ。」

驚いて固まっている楓にそう声をかける。


「え!?あ、うん。」

楓の返事を聞き、結衣子は一条について教室から出て行った。





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