エレアの過去
エレアは構えた。
そう、レムに狙いを定めて。
エレアの眼にやつの隙など見えない。
作戦失敗!!…そう思ったときだった。
アルフォニストリーフ!!
その叫びと同時に地上からいくつもの
触手のようなものが伸びてきた。
それに驚いたのかレムの体が一瞬ひるんだ
エレアはそれを見逃さなかった。
『雷痙攣
エレアの両腕から放たれた雷は幾重もの
光線となりレムの体を直撃した。
レムが一瞬気を失いそうになり目を白くする。
そこを先程の触手が捕まえる。
レムはしっかり捕獲され空中で暴れまわっている。次の瞬間、
後方からとてつもないほどの殺気がエレアの体を覆った。
『大鎌、暗黒世界
そこに居たのはゼクロだった。両手に大鎌をもち
鋭く振りかぶった。
スパージュスブワーズガガガプシュワー。
エグすぎる効果音と、引き裂かれた無数の触手と共に、レムの体は血にまみれながら宙を舞った。
どすーん!!
その地響きと共に彼らは勝利を手にした。
『やったな。』
笑顔でテクノが駆け寄る。
『すっげえコンビネーションだったぜ。』
親指をつぎたした手をエレアはずっと見つめていた。そして
『こいつが、最後の敵ならいーんだけどな。』
リーフのぼやきにゼクロが
『いや、多分まだだ。なんか嫌な予感がするからな。』
と言う。ゼクロの予感はいつも当たるらしい。
『ゼクロさん!!さっきの大鎌は?』
エレアがさっきの大鎌が手から無くなっていることに気づいて問いかける。
『あーあ、俺は五種類の武器を持っててな、この腕のリストバンドに。収納されてンだ♪』
便利だな。誰もがそう思った。
『ちなみにさっきの触手は俺の能力な。』
リーフが自慢げに言う。
あの能力はあまりかっこよくない。
誰もがそう思った。
『にしてもエレアの雷はすげーな。もう少しであいつ気絶させる勢いじゃねーか。』
『あざっす。』
少し照れながらエレアが答えた。
それと同時に、先程のゼクロの殺気よりも
はるかにヤバイ殺気に襲われた。
そう、コアとフリークが居た方向から…。
それをいち早く察したエレアがすばやくそちらを向いた。そこに立っていたのは
マントで体を覆った一人の男。
『てめー、誰だ!!』
マントの男はエレアを見つめる。
『俺の名か!?…あえていうならコークスだな。』
その言葉に、エレア以外の全員の顔が強張る。
どこかで聞き覚えがある名前。
するとゼクロが語りだした。
『やつは…6年前に起こった中央平原で起きた隣国との戦いで隣国のボスだったやつだ。』
全員の体が凍りつく。なおもゼクロは語る。
『エレア…。お前親父さんは!?』
『親父!!? そんな俺を捨てた親のことなんか知るかっつーの!!』
エレアは昔からある男の家で育てられた。彼の名はソリッド。優しくておおらかでいつもエレアのことを1番に考えてくれてたとてもいい人だ。
『やっぱそうおもってたか…。この際だから言うしかねーな。いいかエレアよく聞け。』
『親父の話なんか…。聞きたくねえ。』
『いいから。聞くだけ聞いてくれ。エレア、あんたの親父さんは元フォルランの戦士だった。』
エレアの目が点になる。
『お前の親父さんの名前はレイド。レイドさんはある日、フォルランに子供を連れてきた。みんなびっくりして駆け寄ると、可愛い赤ちゃんだったよ。それがお前だったんだ。レイドさんは毎日毎日お前をつれてきて、ひとときも目を話さず見守っていた。』
エレアはなにがなんだかわからない。頭のなかが混乱してどこか悲しい想いになっていた。
『レイドさんはある日、お前を友人の家に預けてフォルランにきた。みんな育児放棄じゃないかと疑った。だが違った。これから起こる中央平原での戦いでエレアを巻き込みたくねえ。エレアが死ぬぐらいなら嫌われたほうがマシだ。それにおれがこの戦争で死んだらエレアはひとりぼっちで生きていくことになる。そんなの親としてダメだからな。そう言ったんだ。』
エレアの両目には涙が溢れていた。ずっと自分が嫌ってきた親父はほんとはとてつもなく優しく、誰よりも…誰よりもエレアを愛していた。
『父ちゃん…ごめんよー。ごめんよ…。』
まだ幼いエレアには心への傷がとても深かった。
エレアはずっと思い描いていた父の存在を
すぐ側に感じた。
長かったなー!
よければ1番好きなキャラとか
感想に書いてください!!
ちなみに僕はエレアです(〃∇〃)