不思議な言葉
ザイールとテクノが介入不可の
戦いをつづけるなか、他の4人とチェルシー
の戦いはやや静かに進められていた。
『まったくあのチェルシーってやつ、魔法使いだけに近づきにくいな~』
と嫌そうな顔でフリークがラテンを見る。
『なんすかフリーク副隊長。』
『ラテンも魔法使いだからなんかわかんねーのかなって思っただけだよ。』
『魔法使いってのは、自分の手の内をさらしたら負けなんです。だからそう簡単に読めませんよ。』
すると急にコアが口をひらいた。
『魔法使いってことで遠距離を主体にする攻撃のやつがいいな…、よしフリークいけ!!』
『ま、まってください。みんなでやりましょうよ~。』
コアは笑いながら
『俺らは後ろからサポートするよ。』
とだけ言い、他の三人は後ろへさがる。
『まったく、絶対手伝ってくださいよ。まあエレアとラテンは強制だけどな。』
『はいはい。』
と二人が答える。
そしてフリークは自前の武器、巨大タバコ、通称火の手を手に取り先に火をつける。
『コア隊長。フリーク副隊長の能力ってなんなんですか』
『そうだな~応用力があり、なおかつ攻撃力はフォルラン随一といえるだろーな。
まああいつの能力は戦闘向きじゃないんだが…まあとりあえず強いよ。』
エレアは早くフリークの技や攻撃が見たくうずうずしていた。
『さぁ、いくぜ!!』
掛け声と共にフリークは火の手を思いきり吸い込み、口からその息をおもいきり吹いた。
ものすごい勢いで煙がチェルシーを襲う。
『こんなもので勝てると思うなよ!!、水灰魔法』
すると魔法陣から水の壁が出現した。
そのとたんにフリークの煙は消滅した。
『こんなもので勝てると思わないでくださいよ』
チェルシーが嫌な口調で喋る。
『別に倒すのが目的じゃないからな。』
いかにもすべて知っているような口調で
フリークが答え、またもや火の手を吸った。
『また同じ手かよ。』
魔方陣を用意するチェルシー。
すると次の瞬間、フリークは火の手をおもいっきり吹いた。火の手の先からは大量の火炎が放射された。
『なっ、次は火炎かよ。まあい~や。もういっかい水灰魔法……えっ、お、おい、なんで』
水灰魔法が発動されないのだ。
『わりぃがさっきの煙は直前に使った技の発動を封印してしまう奥の手なのさ。だからお前は焼き尽くす』
『な、なにお~!!うわぁー!!!』
フリークの火炎は焼き尽くす途中で火力を失った。死に際チェルシーはフリークに問った。
『なぜ奥の手を俺なんかに使った…』
たしかにそうだ。まだまだ敵はフォルラン帝国に居るのに、チェルシーに使わなくても良かったはず。それにボス戦でも役に立つほどの奥の手を、なぜチェルシーに使ったのか。それが一番聞きたかったのはくらったチェルシーだった。
『そうだな~。まあ俺は多分この先あまり役に立たなくなるからな。今のうちに使ったほがいーんだ。』
放たれた言葉はあまりに意味がわからないものだった。副隊長であるフリークが戦力にならないわけがなかった。だがたしかにフリークはこの先戦力にならないといった。
その放たれた言葉の意味が分からないまま、
チェルシーは息を引き取った。
『フリーク副隊長。今のはどういう意味ですか!?』
エレアも
フリークの言葉を不思議に思ったようだ。
『ん!? そのままの意味だよ。』
エレアとラテンは不思議そうな顔をしている。
しかしコアは意味を理解しているらしく
その目はとても悲しそうで、それでいて
とても頼もしく見えた。