二人の刺客
『全班出動?!!』
驚いた顔で全員がコアの顔を見る。
『あぁ、全班、12班すべてな。』
かつて侵入者に全班出動したことは
一度もない。
あるとすれば侵入者ではなく
6年ほど前に、隣の国と
中央平原で起こった戦争のときだ。
『まぁ、あんときは隣国同士の誇りをかけた
戦いだったために全班出動だったが
今回はそうじゃねえ、明らかにフォルラン帝国戦士の本気を出さないと勝てねえ相手だ…。』
エレアは恐怖と同時に自分の力を証明できる機会を掴んだことに喜びも覚えていた。
『よし、雑談はここまでだ。』
コアが話を打ちきる。
『コア隊長。配置は!?』
人一倍任務に熱心なフリークが問う。
『今回は敵がいまだに不明なのに加え、
とてつもない強い敵だと思う。
この場合、エレア!!』
突然当てられたエレアばビクビクしながら
『は、はい!』
と答え、
『この場合、どう行動するか言うてみ。』
混乱しかけた頭のなかで答えを探し
『ぜ…ぜっ、全体行動』
と、答えた。
『ふっ、正解だ。よし戦闘準備に入れ!!』
コアの掛け声と共に各々が準備を始める。
テクノは剣を研ぎ、ラテンは魔方陣を書く。
フリークは巨大タバコの手入れを、
そしてコアは精神集中をしている。
エレアは自分の力は雷を操るものなので
すぐにスタンガンを腕にあて、充電を始めた。
スタンガンの強力電流に耐えれるのは
フォルラン帝国でも
エレアだけといってもいいだろう。
彼の体は特殊ゆえに電流を身体中に
溜めて自由に放ったりすることが可能なのだ。
準備を始めて二分がたったころ、
第8班のもとに邪悪なオーラが近づいた。
それに感付いたコアが大声をあげた!!
『刺客が来るぞー!!!おめーら戦闘体制に入れ!!』
さすが第8班。その掛け声に驚くこともせず
しっかりと戦闘体制に入る。
後れをとったエレアが戦闘体制に入ろうとしたときだった。
窓が激しく割れる音と共にドアが爆発し
2人の刺客が入ってきた!!
その1人は剣士だったため、テクノに喰らいつく
が、テクノは一流剣士だ。
容易くかわしたあとに、目にみえぬ高速の太刀筋で敵をきりつけた。
誰もがそう思った。相手は1人もう死んだと。
だがもう1人の魔法により、テクノの刀は空を切った。なにが起きた。みんなが思った。
テクノは数コンマ遅れて気づいた。
敵の魔法によって俺の体がわずか1メートル
飛ばされたのだ。
『なんだてめえら…やるじゃねえか…』
テクノが悔しがった声で喋る。
すると剣士の刺客の1人が喋り出した。
『ふ~、敵じゃねえな。まあいちを名乗ってはやるよ。剣士のザイール。』
それに続き刺客の魔法使いが名乗る。
『俺はチェルシー。さっさと片付けてやる。
5人一気にかかってきてもいいぜ。』
それにカチンときたエレアが怒鳴る。
『うるせーなてめえら。死ぬのはてめえらだ。』
それに続きテクノが半笑いながら言う。
『たまにはいーこというじゃねーかエレア。
その通りだ。死ぬのはてめえらだ!!』
コアが叫ぶ。
『第8班、戦闘開始!!!』
その掛け声と共に、壮絶な戦いが幕を開けた。