狐と猫と陰陽師
――昔々、人里離れた山に、強力な魔力を持つ妖狐と、幼いが相当な魔力を持つ二匹の猫が住んでいた。
妖狐は時々、子猫を連れて里に下りていくことがあった。
今日もまた里に向かおうとした途中、人間の仕掛けた罠にかかってしまう。
幼い子猫は罠を解こうと一生懸命。しかし、罠は一向に外れる気配はない。
子猫は困ってしまい、遂には大声で泣き始めてしまった。すると里の方から――
「おやおや、こんなところでどうされた。」
と、一人の男が近寄って来た。
子猫はその男に助けを求めた。男は猫の助けを引き受け、妖狐の罠を外してやった。
罠を外してもらった妖狐は男に
「ありがとうございました、このご恩はいつかお返しします。」
そういうと、男の前から去って行った。
――数日後、男の前に、子猫を連れた美しい女が現れた。
「私は旅の者です、どうかここにしばらく置いてください。」
と、男にそういった。心優しい男は女を受け入れた。
女は「紅椿」と名乗り、猫は「深緋」、「薄緋」といった。
紅椿は洗濯や料理、畑仕事など色々な仕事をした。その働きぶりは皆を感心させるほどだった。
男は陰陽師の仕事をしていたため、紅椿がきてから大助かりをした。
そしてある満月の日の夜、男は妖怪退治に出かけた。
紅椿は男の帰りをまった、しかし一向に帰ってくる気配がない。心配になった紅椿が
男の様子を見に行った。
するとそこにいたのは――
大けがをしている男の姿だった。
紅椿は急いで男に駆け寄った、そして――
「私はあの時の狐です。今、貴方様を里にお連れいたします。」
そういうと紅椿は、あの時の妖狐に化け、男を里に運んだ。
そして…男を里の皆に預けると、子猫を連れて、何処かに姿を消した。
その後、妖弧達がどうなったかは…神のみぞ知る。
これが後に、別の話にどう関係していくのか…