依頼1-8
料理の腕を自慢していた沙緒が作った昼飯はチャーハンだった。
臆面もなく言うだけにけっこう美味い。
オレが褒めるとこんなの誰でもできるわよォ、と謙遜したが、表情は嬉しそうだった。
「『なんでも屋』を始めたきっかけは?」
ガツガツとチャーハンをかき込んでいるオレに沙緒が尋ねてきた。
「成り行きかな」
口一杯にチャーハンを詰めたまま答える。
「オレも今で言う『就職難民』の一人でね。まァ名ばかり大学生だったから仕方ないッちゃァ仕方ないンだけどね。就職も決まらないまま卒業を迎えて先行き不安に陥ってたら、ばあさんに就職決まるまで店を手伝え、って言われてね。駄菓子屋兼ばあさんの雑用という仕事にとりあえず就いたわけだよ」
お茶をひと口飲む。
「そしたらばあさん、それだけじゃなく近所の年寄り仲間にも困ったことがあったらオレが手伝うと触れ回りやがって、買い物を手伝わされたり庭の手入れを手伝わされたりして微々たる小遣い貰ってたわけだよ。そのうちに閃いたンだよ。これなら商売になるンじゃないかと。まァ浅薄な考えだったとすぐに気がついたンだけど、けっこう性に合ってる気がしてね。それでばあさんに頼み込んで、駄菓子屋に看板揚げさせてもらって今に至るというわけだよ」
一気にしゃべってお茶を飲み干した。
「なんだかんだ言っても、おばあちゃんのおかげってわけね」
「んッ、まァ……」
認めたくはなかったが、事実そうであるから仕方がない。ばあさんの高笑いする顔が浮かんだ。
「最初のお客さんは覚えてる?」
「覚えてるけど話さないよ」
「守秘義務ってやつ?」
「そんな大袈裟なものじゃないけど一応自分に課したルールってことで……。ただ、やっぱり看板揚げなきゃよかったと思える仕事だったとだけ言っておくよ」
「余計に聞きたくなるじゃないッ!」
オレは笑いながら最初の依頼を思い出していた。




