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外れスキルの【停止時能力アップ】実は世界最強でした  作者: 滝本りお


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僕の街

僕が生まれ育った街は

聖都アルセリオンっていう。


大きな街だ。


この辺りじゃ一番大きいって

よく大人たちが言っている。


街の真ん中には

天核大聖殿っていう

とんでもなく大きな神殿がある。


遠くからでも見える白い塔が立っていて

晴れた日は、朝の光が反射して

ちょっと眩しいくらいだ。


この街は、その神殿を中心に

ぐるっと円を描くように広がっている。


神殿のすぐ近くには

神官とか学者とか、

聖人族の偉い人たちが住んでいる区域がある。


その外側には

騎士団の訓練場や兵舎。


さらに外に行くと

市場とか鍛冶屋とか宿屋が並ぶ

商業区になる。


僕が暮らしていたのは

その商業区のあたりだ。


パン屋もあるし

魚屋もあるし

朝になると市場の声がうるさいくらい響く。


一番外側には

街を囲む壁と農地があって

そこから外は森と街道だ。


まあ、簡単に言うと


神殿

神官たちの区域

騎士団の区域

市場と商人の区域

外壁


こんな感じの街だ。


僕はこの街が好きだった。


朝はパンの匂いがするし

昼は市場が騒がしいし

夕方になると神殿の鐘が鳴る。


それに――


顔見知りも多い。


「リオ兄ちゃん!」


空き地に行くと

いつもの声が聞こえてくる。


振り向くと

木剣を持った三人組。


まず一番年上の


カイル。


真面目で、

とにかく努力家。


僕が言ったことは

絶対にもう一回やろうとする。


次が


ナーシャ。


元気な女の子で

動きがとにかく速い。


力はそんなにないけど

足さばきがうまい。


そして最後が


トルク。


一番小さいけど

一番よく見ている。


人の動きを真似するのが

妙に上手い。


三人とも

毎日のように木剣を持って

僕のところに来る。


「今日は剣やるんだろ!」


「昨日の続き!」


「早く早く!」


僕は苦笑する。


「ちゃんと朝の手伝い終わらせたの?」


三人そろってうなずく。


……まあ、たぶん半分くらいは嘘だ。


僕は木剣を一本拾う。


「いい?

剣っていうのはね、

強く振るものじゃない」


カイルが構える。


「足はこう。

腰はこう。

それから――」


木剣を軽く振る。


風を切る音は

ほとんどしない。


ナーシャが首をかしげる。


「え、今の遅くない?」


僕は笑う。


「遅くていいんだよ。

剣は速さより――」


少し考えてから言う。


「流れだから」


トルクがぽつりと言う。


「リオ兄ちゃんの剣、

なんか静か」


「そう?」


「うん。

騎士団の人の剣と違う」


僕は肩をすくめる。


「まあ、

教えてくれた人が変わってたんだろうね」


それ以上は考えない。


子供たちにとっては

ただの剣の練習。


街の人たちにとっても

よくある日常。


僕にとっても――


ただの

平和な毎日だった。

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