僕が知っている魔物の話
この世界には、人族や七つの種族とは別に
魔物って呼ばれる存在がいる。
正確には、いろんな呼び方がある。
魔虫。
魔獣。
魔物。
強さや種類によって呼び方が変わるけど、
だいたいまとめて「魔物」って呼ばれることが多い。
魔物は、人族とは違う方法で生まれる。
学校で習った話だと、
世界の中心には天核っていう存在があって
人はそこから初期スキルをもらう。
でも、その反対にある存在がある。
名前は――
冥核。
その冥核が、魔物を生み出しているらしい。
まあ……正直、
それが本当にそうなのかは僕も知らない。
学者の話とか、
古い本とか、
そういうところに書いてあるだけだから。
でも、ひとつだけ確かなことがある。
魔物には、ある法則がある。
普通の人は、魔物の強さって
体の大きさで決まると思っている。
巨大な魔物は強い。
小さい魔物は弱い。
だいたいそんな感じ。
でも、冒険者の間では
もっと大事な基準があるって言われている。
それは――
知能。
魔物は、頭がいいほど強い。
体の大きさよりも、
魔力量よりも、
まず知能。
それが一番重要らしい。
そして次に来るのが――
スキル。
実は魔物にもスキルがある。
人族みたいに天核からもらうのか、
冥核から与えられるのかは分からないけど、
とにかく魔物は
それぞれ何かしらの能力を持っている。
だから、面白いことが起こる。
たとえば――
小さな魔獣でも、
知能が高くて、
強いスキルを持っていたら
ドラゴンより強い魔物になることもある。
逆に、体が巨大でも
頭が悪くてスキルが弱いと
意外と簡単に倒されたりもする。
それに、魔物は
ただ生きているだけじゃない。
魔物は――
進化する。
戦ったり、
長く生きたり、
魔力を溜めたりすると
別の姿に変わることがある。
それを進化って呼ぶ。
さらに強い個体になると
覚醒することもあるらしい。
そして、ごく稀に――
変異っていう、
よく分からない変化をする個体もいる。
まあ……
そこらへんは、僕も本で読んだだけだけど。
それからもう一つ。
魔物っていうと、
みんな「ただの怪物」って思っているけど
実はそうでもない。
知能が高い魔物の中には
言葉を理解する個体もいる。
中には
人族と協力したり
契約を結んだりする魔物もいるらしい。
だから世界には
魔物を討伐する冒険者もいるし
魔物を研究する学者もいるし
魔物を仲間にする人間もいる。
……まあ、僕はまだ
そんな魔物に会ったことはないけど。
僕が知っているのは
だいたいこのくらいだ。
本に書いてあることと、
街で聞いた話を合わせた程度。
だから、もしかしたら
世界にはもっと強い魔物とか
もっと変な魔物とか
まだ知られていない種類も
いっぱいいるのかもしれない。
まあ――
それを知るのは
冒険者になった人たちの仕事だ。
少なくとも
僕には関係のない話だった。




