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羅螺蘭の間

石扉が閉じた。


重い音が響く。


ゴゴゴ……。


そして。


完全な静寂。


リオはその場に立ち尽くしていた。


呼吸が乱れている。


「はぁ……」


「はぁ……」


「はぁ……」


振り返る。


巨大な扉。


押す。


ドン。


「開けてくれ!!」


ドン!!


「お願いだ!!」


ドン!!


「レオンさん!!」


「カイゼルさん!!」


返事はない。


ただ、冷たい石の壁だけ。


リオの声が崩れる。


「……嘘だ。」


「こんなの……。」


「嘘だろ……。」


涙が落ちる。


膝が震える。


「……僕。」


「死ぬのか。」


沈黙。


その時。


闇の奥から、圧のような気配が流れた。


リオの体が止まる。


「……!」


ゆっくり。


ゆっくりと。


視線を奥へ向ける。


そこに。


巨大な影があった。


最初は岩だと思った。


だが違う。


椅子。


いや、石の玉座のようなもの。


そこに。


座っている。


巨体。


三メートル近い体躯。


長い腕。


広い肩。


その存在は動かない。


ただ。


リオを見ている。


リオの喉が鳴る。


「……誰だ。」


返事はない。


ただ。


視線だけがある。


リオの背中に冷たい汗が流れる。


「……なんなんだ。」


剣を握る。


震えている。


「なんなんだよ……。」


涙が溢れる。


だが。


それでも剣を構える。


「……こい。」


声が震える。


「こいよ。」


胸の奥が震える。


スキルが反応する。


リオが叫ぶ。


「スキル発動!!」


「停止時能力向上!!」


体が軽くなる。


呼吸が整う。


筋肉が引き締まる。


それでも。


目の前の存在は動かない。


椅子に座ったまま。


ただ見ている。


リオは叫ぶ。


「こい!!」


「お前から来い!!」


涙が止まらない。


それでも叫ぶ。


「僕は!!」


「まだ!!」


「死にたくないんだあああああ!!!」


地面を蹴る。


全力で走る。


剣を振り上げる。


「うわあああああああ!!!」


だが。


その存在は。


動かない。


リオが振り下ろそうとした、その瞬間。


巨体の男が。


ほんのわずか。


息を吐いた。


「……ふっ。」


空気が揺れる。


次の瞬間。


ドン!!


リオの体が宙を舞った。


壁へ叩きつけられる。


剣が床を滑る。


カラン……。


リオの視界が揺れる。


呼吸が止まる。


「……な。」


体が動かない。


指一本動かない。


ただ。


椅子に座る巨体だけが見える。


一歩も動いていない。


ただ。


リオを見ている。


リオの意識が揺れる。


「……なんだ。」


「これ……。」


視界が暗くなる。


その時。


巨大な男が、初めて口を開いた。


低い声。


深く。


静かな声。


「……なるほど。」


ほんの一瞬。


沈黙。


そして。


ただ一言。


「確かに。」


「ここまで届いた。」


その声を最後に。


リオの意識が落ちた。


体から力が抜ける。


床に倒れる。


リオはそのまま。


完全に意識を失った。


羅螺蘭の間は。


再び静寂に包まれた。

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