誘導
夜。
酒場の外。
祭りの灯りがまだ残っている。
遠くで音楽が鳴る。
SSギルドの五人が歩いている。
レオン
「本当に入れるのか?」
ドレクスが聞く。
ガルヴァン
「新人の話だ。」
ドレクス
「リオだ。」
少しの沈黙。
カイゼルが言う。
静かに。
「いや。」
一言。
「殺す。」
リュメリアが肩をすくめる。
「やっぱりね。」
ガルヴァン
「芽を摘む仕事だ。」
ドレクス
「だが」
「確かめる必要はある。」
カイゼル
「当然だ。」
レオンが言う。
「ヴァル。」
「あの老人。」
「何か知っている。」
カイゼル
「明日また会う。」
翌日。
同じ酒場。
夜。
ヴァルは先に座っている。
レオンが席に着く。
その後ろに
ガルヴァン。
リュメリア。
ドレクス。
カイゼル。
酒が並ぶ。
しばらく沈黙。
カイゼルが言う。
「昨日の話。」
ヴァル
「リオか。」
カイゼル
「入れるかどうか」
「まだ決めていない。」
ヴァル
「当然だ。」
酒を飲む。
「いきなり入れる必要はない。」
ガルヴァン
「ほう。」
ヴァル
「お試しってやつだ。」
ドレクス
「試験か。」
ヴァル
「そうだ。」
ヴァルが少し笑う。
「ちなみに」
「お主ら。」
「ここ出身だろう?」
レオン
「そうだ。」
ヴァル
「なら」
酒を回す。
「SSギルド専用ダンジョン。」
「もう行ったのか?」
その言葉で
全員の表情が止まる。
レオン
「……知っているのか。」
ヴァル
「昔な。」
「若い頃」
「少しだけ関わった。」
ガルヴァン
「なるほどな。」
ヴァル
「そこへ」
指を立てる。
「リオを連れて行け。」
リュメリア
「理由は?」
ヴァル
「簡単だ。」
「本当の強さが分かる。」
ドレクス
「ほう。」
ヴァル
「第五階層までは」
「SSと一緒なら誰でも入れる。」
レオン
「そうだ。」
ヴァル
「だが」
「第六階層からは違う。」
酒を置く。
「結界がある。」
カイゼル
「天垓の結界。」
ヴァル
「そう。」
「SSしか通れない。」
ガルヴァン
「常識だ。」
ヴァル
「だが」
笑う。
「リオなら通れる。」
ドレクス
「どういう意味だ。」
ヴァル
「簡単だ。」
「お主らより」
「強いからな。」
酒場が静かになる。
レオン
「ずいぶん言うな。」
ヴァル
「だから」
手を振る。
「裏道を使え。」
リュメリア
「裏道?」
ヴァル
「穴だ。」
ガルヴァンが笑う。
「穴掘りか。」
ヴァル
「ダンジョンは岩だ。」
「掘れる。」
「裏道ルートで」
「第六階層へ連れていけ。」
カイゼルは黙って聞いている。
ヴァル
「経験を積ませろ。」
「それで分かる。」
少し間。
そしてヴァルが
思い出したように言う。
「ああ」
「そうだ。」
全員の目が向く。
ヴァル
「一つだけ」
指を立てる。
「気をつけろ。」
カイゼル
「何だ。」
ヴァル
「第六階層。」
「巨大な扉がある。」
ドレクス
「……。」
ヴァル
「そこだけは」
「行くな。」
レオン
「理由は。」
ヴァル
「通称」
「羅螺蘭の間。」
酒場の空気が少し変わる。
ヴァル
「ライドボス部屋だ。」
ガルヴァン
「ボス部屋か。」
ヴァル
「入ったら」
「倒すまで出られない。」
リュメリア
「封鎖型。」
ヴァル
「そうだ。」
酒を飲む。
「しかも」
「とんでもなく強い。」
ドレクス
「俺たちでもか?」
ヴァル
「お主らでも」
少し笑う。
「死ぬかもしれん。」
静かな沈黙。
ヴァル
「だから」
「そこだけは入るな。」
「気をつけろ。」
酒を飲み干す。
誰も言葉を発さない。
だが
カイゼルの目だけが
わずかに細くなる。
そして酒場を出たあと。
ドレクス
「怪しいな。」
ガルヴァン
「怪しすぎる。」
リュメリア
「でも」
「面白い。」
レオン
「どうする。」
カイゼルは笑う。
「簡単だ。」
「リオを連れていく。」
ドレクス
「羅螺蘭の間には入らない?」
カイゼル
静かに言う。
「いや。」
目が暗く光る。
「入れる。」




