初期スキルと“第二スキル”
この世界には“初期スキル”がある。
生まれた瞬間、誰もが必ずひとつだけ授かる能力。
それを与える存在は、神様じゃない。
この世界では――
《天核》
と呼ばれている。
天核は、祈れば返事をする存在じゃない。
世界の中心にある“核”みたいなものだ。
魂が生まれる時、そこを通る。
その通過の痕跡として、“ひとつの能力”が刻まれる。
それが初期スキル。
そして僕の初期スキルは――
《夢記録》
寝ている間に見た夢を、
起きたあとも“映像みたいに”正確に覚えていられる。
…それだけ。
戦えない。
回復もできない。
魔力が増えるわけでもない。
ギルドでは笑われた。
「夢日記つけるのが才能かよ」
「それで冒険者やるの?」って。
正直、僕もそう思ってた。
でも、もうひとつ。
この世界には“例外”がある。
初期スキルとは別に、
ごく稀に――
“第二スキル”が発現する人間がいる。
天核の刻印とは別の場所に、
人生のどこかで突然、能力が芽を出す。
血筋か。
事故か。
呪いか。
それとも、魂の癖か。
原因は誰にもわからない。
ただ、ひとつだけ共通点がある。
第二スキルは――
“変な形”で発現しやすい。
役に立たない。
制約が多い。
むしろ、持った本人を苦しめる。
僕がそれを知ったのは、
自分に発現してからだった。
僕の第二スキルは――
《静止時能力向上》
止まっている間だけ、能力が少し上がる。
動いた瞬間、全部リセット。
戦いでは使えない。
逃げても消える。
鍛えるほど虚しくなる。
だから、僕はずっと
「初期スキルも外れ」
「第二スキルも外れ」
そういう“ハズレくじ二枚持ち”として生きてきた。
…あの日までは。




