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外れスキルの【停止時能力アップ】実は世界最強でした  作者: 滝本りお


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26/125

災害級の魔人。木刀の一振り

洞穴の修行は終わった。


リオは息を吐く。


汗が頬を伝う。


ヴァルが言う。


「今日はここまでだ」


リオ

「え?」


ヴァル

「外へ出る」


二人は洞穴を出る。


外の光が眩しい。


久しぶりの風。


リオは空を見上げる。


「明るい……」


ヴァルは川の方へ歩き出す。


町外れ。


あの川沿いの場所だ。


最初に出会った場所。


ヴァルは言う。


「ここからは」


「外で修行する」


リオ

「洞穴は?」


ヴァル

「基礎は終わった」


木刀を投げる。


カンッ


リオが受け取る。


「次は」


「形だ」



川の流れ。


風が揺れる。


リオは木刀を構える。


ヴァル

「振れ」


リオは踏み込む。


ブンッ


ヴァルは軽く受ける。


「違う」


もう一度。


リオは振る。


ヴァル

「遅い」


三度目。


リオは集中する。


風を感じる。


水の音。


足の重心。


振る。


シュッ


ヴァルの木刀が止まる。


「……ほう」


リオ

「え?」


ヴァル

「今のは少し良い」


リオは驚く。


「本当ですか!?」


ヴァル

「ほんの少しだ」



その時だった。


町の方から音が響く。


ゴオォォォン


警鐘。


リオが振り向く。


「何だ!?」


町から煙が上がっている。


遠くで悲鳴。


兵士の声。


リオ

「魔物……?」


ヴァルは目を細める。


「違う」


空気が震える。


地面が揺れる。


森の奥から現れた。


黒い影。


巨大な角。


赤い目。


魔力が空気を歪めている。


リオの顔が青くなる。


「……魔人」


ヴァル

「災害級だな」


魔人が町へ向かって歩く。


一歩。


地面が割れる。


リオは木刀を握る。


「町が……」


ヴァルが言う。


「動くな」


リオ

「え?」


ヴァルは前へ出る。


ゆっくり歩く。


木刀を持ったまま。


リオ

「ヴァルさん!?」


ヴァル

「ちょうどいい」


振り返らない。


「見ていろ」


魔人が咆哮する。


ドォォォォォン


大地が揺れる。


魔力が吹き荒れる。


リオは立っているのがやっとだ。


ヴァルは止まる。


魔人まで十歩。


静かだ。


そして。


木刀を一度振る。


ただそれだけ。


シュッ


風が走る。


次の瞬間。


ズンッ


魔人の体が止まる。


一秒。


二秒。


三秒。


リオ

「……?」


魔人の体が


崩れる。


ザザザザザッ


千切れた。


無数の断面。


巨大な体が崩れ落ちる。


リオの目が開く。


「……え?」


ヴァルは木刀を見る。


少し首を傾げる。


「うむ」


そして笑う。


「わたしは剣士ではない」


リオ

「え?」


ヴァルは肩をすくめる。


「慣れないことは」


「しないに限るな」


静かな川の音。


町の警鐘だけが響いている。


リオは震えていた。


今。


ようやく気付いた。


この老人は。


ただの剣士ではない。

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