目指す場所
洞穴の奥。
リオは岩に背中を預けて息を整えていた。
肩でノアが小さく光っている。
ヴァルは少し離れた場所で立っていた。
静かに言う。
「一度休め」
リオは驚く。
「え?」
ヴァルは洞穴の奥を見ながら続ける。
「修行ばかりでは頭が鈍る」
リオは苦笑する。
「さっきまでずっと殴られてましたけど……」
ヴァルは無視する。
そして突然聞いた。
「SSギルドのことは知っているか?」
リオはすぐに頷く。
「もちろんです」
「知らない冒険者はいません」
ヴァルはゆっくり振り向く。
「目指しているのか?」
リオは少し黙る。
洞穴の空気が静まる。
リオは小さく笑った。
「……目指したいです」
少し間を置く。
「冒険者なら」
「誰だって」
ヴァルは黙って聞いている。
リオは続ける。
「でも」
苦笑する。
「僕は弱いです」
ノアが肩で光る。
リオは手を握る。
「Eランクですし」
「ネオスライムだって」
「たまたま倒れただけです」
ヴァルは静かに聞いていた。
リオは天井を見る。
「SSギルドなんて」
「遠すぎます」
「空みたいに」
ヴァルは少しだけ笑う。
「そうか」
洞穴の壁を軽く叩く。
コンッ
「では質問だ」
リオは顔を上げる。
ヴァルはゆっくり言う。
「もし」
「SSギルドの一人に」
「勝てる剣を教えてやると言ったら」
リオは固まる。
「……え?」
ヴァルの目は静かだ。
「目指すか?」
洞穴の空気が張り詰める。
リオはしばらく黙る。
拳を握る。
そして言う。
「……はい」
ヴァル
「弱いのにか?」
リオは笑う。
「弱いからです」
ヴァルの目が細くなる。
リオは続ける。
「強くなりたいんです」
「自分のためじゃなくて」
少し間。
「守りたい人がいるから」
洞穴の奥で風が流れる。
ヴァルはしばらく黙る。
そして言う。
「そうか」
次の瞬間。
剣を抜く。
シャッ
リオは慌てる。
「え?」
ヴァルは剣をリオの前に投げた。
カンッ
「立て」
リオ
「え?」
ヴァル
「次から」
「本当の修行だ」
リオは剣を拾う。
手が少し震える。
ヴァルは静かに言う。
「SSギルド」
「目指すなら」
「生半可では死ぬ」
洞穴の奥を見る。
「だから」
リオを見る。
「ここからは」
「優しくしない」
洞穴の空気が変わる。
少年の修行は
次の段階へ進んだ。




