六種族の世界
ミナ「リオくん、今日もパーティ募集?」
リオ「はい!
……その前に、少し種族の勉強したいんです。」
ミナ「種族の? リオくん、熱心だねぇ。」
リオ「六つの種族……
僕、ちゃんと理解しておきたいんです。
だって、冒険者として世界を歩くなら、
知らないのは危ないですから。」
ミナ「たしかに。誰に教わったの?」
リオ「全部、独学です!」
ミナ「えっ、独学で六種族を語るの……? 逆にすごいわよそれ。」
リオ「じゃ、ちょっとだけ話してみますね。」
リオ「まずは――“魔神族”。
生まれつき魔力が桁違いで、
攻撃魔法の才能は全種族の中でも最強格です。」
通りすがりの冒険者「魔神族は気性が荒いって聞くが?」
リオ「そう言われがちですけど、
本当は“魔力が強すぎて繊細”なだけらしいですよ。
常に魔力を抑えてるから、怒ってるように見えるだけで。」
冒険者「へぇ、意外だな。」
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リオ「次が“魔王族”。
魔神族の王家血統で、
魔力より“統率力”と“作戦能力”の方が高い種族です。」
ミナ「魔神族より扱いがまだマイルドよね。」
リオ「そうなんです。
魔神族と違って“軍を動かす力”を持つ種族なので、
戦争では真っ先に狙われることが多いとか……」
⸻
リオ「“怪神族”は、身体変化の天才です。
腕を増やしたり、皮膚を硬化させたり、
戦闘中の適応力は六種族で一番ですね。」
冒険者B「化け物ってことか?」
リオ「めちゃくちゃ強いですけど、
性格はめちゃ優しい人が多いですよ。
見た目で誤解されがちですが……。」
冒険者B「……すまん。」
⸻
リオ「“魔術族”は魔法理論のプロ。
魔力より“知識”で戦うタイプで、
魔道具の研究や、古代魔術の解析が得意です。」
ミナ「図書館に行けばだいたい魔術族が寝てるわね。」
リオ「勉強のしすぎで倒れるらしいです。」
ミナ「働きすぎよあの人たち……」
⸻
リオ「そして僕たち“聖人族”。
光寄りの魔力を持っていて、
治癒、加護、防御、浄化……
人を助ける能力に長けてると言われてます。」
ミナ「リオくん、でもあなた……
治癒も加護も、使えなかったよね?」
リオ「はは……そうなんですよね……
だから僕、本当に聖人族なのかなって……」
⸻
◆そして、最後の種族
ミナ「あと一つは?」
リオ「……“魔聖族”。」
ミナ「……あぁ、幻の。」
リオ「文献によると、
“光と魔の二つの系統を同時に持つ唯一の存在”。
元を辿れば――
聖人族と魔神族の“祖の血”が交わった奇跡の種族。」
ミナ「でも実在しないんでしょ?」
リオ「はい。
歴史書には記録があっても、
生きた個体は一度も確認されてません。」
ミナ「絶滅……なのよね?」
リオ「“絶滅した可能性が高い”と書かれてました。
でも、本当は……消されたんじゃないかって説もあって。」
ミナ「……リオ。
どうしてそんなに魔聖族の話を知りたいの?」
リオ「……なんとなく、ですけど。
“聖人族にはない違和感”をずっと持ってるんです。」
ミナ「違和感?」
リオ「治癒魔法が使えない。
光魔法も弱い。
なのに……身体の反応速度だけ異常に高い。」
ミナ「…………」
リオ「ずっと不思議なんですよ。
僕って……本当に聖人族なのかなって。」
⸻
◆冒険者たちの空気が変わる
冒険者A「……おい、思ったよりこいつ頭いいぞ。」
冒険者B「こんな丁寧に六種族説明できるEランクいねぇぞ?」
ミナ「そうなのよねぇ……。
戦闘以外は、けっこう優秀なのよこの子。」
リオ「え、僕……褒められてる……?」
冒険者A「いやまぁ……つえぇわけじゃねぇんだけど……
知識量だけならそこらのCランクより詳しいわ。」
リオ「ほんとですか!?」
冒険者B「おう。ただ――
お前のスキルがなぁ……」
リオ「あ、《静止時能力向上》ですか……」
冒険者A「そう。止まってる時しか強くならねぇとか……
正直、戦闘には向かねぇ。」
リオ「へへ……やっぱりそうですよね。」
ミナ「でもねリオくん。
弱いスキルでも、
“世界を知ろうとする姿勢”は立派よ。」
リオ「ミナさん……ありがとうございます!」
ミナ「……あ、そういえば。
ギルドの裏の森で、
最近“変な老人”が剣を振ってるって噂があってね。」
リオ「老人……?」
ミナ「誰かを探してるような目をしてるとか。」
リオ「探してる……?」
ミナ「気になるなら、覗いてみたら?」
リオ「……はい。
この世界のことをもっと知るためにも……
行ってみます!」




