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外れスキルの【停止時能力アップ】実は世界最強でした  作者: 滝本りお


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19/119

静かすぎる洞穴

リオは洞穴の前に立った。


黒い穴。


中から冷たい空気が流れてくる。


リオは小さく息を吐いた。


「……入るか」


ノアが肩の上で羽を震わせる。


リオは一歩踏み出す。


洞穴の中は暗かった。


光は入口から数歩しか届かない。


岩の匂い。


湿った土の匂い。


そして――


静かだった。


あまりにも静かだった。


リオは足を止める。


「……?」


首をかしげる。


「なんか変だな」


普通、洞穴には音がある。


水滴の音。


虫の羽音。


小さな魔物の気配。


でもここには、それがない。


完全な静寂。


ノアが小さく光る。


リオはゆっくり歩く。


コツ……


コツ……


足音だけが響く。


「静かすぎる」


リオは呟く。


「魔物の巣って」


「もっとこう……」


言葉を探す。


「うるさい気がするんだけど」


ノアが肩から少しだけ飛ぶ。


洞穴の奥を見つめる。


リオは岩壁を触る。


冷たい。


湿っている。


その時だった。


足元で


パキッ


何かが割れる音。


リオは下を見る。


骨だった。


小さな魔物の骨。


いくつも転がっている。


リオの背中に冷たいものが走る。


「……食べられた?」


周囲を見る。


洞穴の奥はまだ暗い。


何も動かない。


だが。


空気が重い。


リオは小さく息を吐く。


「Cランクがやられた理由」


「なんとなくわかる気がする」


ノアが微かに光る。


その時。


洞穴の奥から


水滴が落ちた。


ポタ……


ポタ……


静寂の中で、その音だけが響く。


リオは剣に手をかけそうになる。


だが思い出す。


「……剣は抜くな」


ヴァルの試験。


リオは苦笑する。


「先生」


「無茶言うなあ」


ノアがリオの肩に戻る。


リオはゆっくり進む。


十歩。


二十歩。


光が届かなくなる。


完全な暗闇。


その瞬間だった。


洞穴の奥で


何かが


動いた。


ズル……


リオの体が固まる。


動けない。


怖い。


だが震えはない。


リオは小さく呟く。


「……いる」


暗闇の奥。


ゆっくりと


何かが姿を現そうとしていた。


その頃。


洞穴の外。


遠くの木の影。


ヴァル・グレンが立っている。


洞穴を見つめる。


小さく呟く。


「静かだろう」


「少年」


そして静かに笑う。


「そこにいるのは」


「ただの魔物ではない」


川の風が吹く。


試験は


まだ始まったばかりだった。

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