第3杯 ノエル
1938年12月24日…
フランスのクリスマスイブ、レ・キャフェイ・カデはデザートの注文が相次いでいました。皆、家族のために買って帰るのです。
次々注文が相次ぐ中、料理人さんはフル稼働でした。そこに店長、イリス、エマが加わり、ジャンヌは受付を行っています。
勿論、彼女達もクリスマスを過ごさないわけがありません。レ・キャフェイ・カデはクリスマスのみ午前のみ開店しているのです。
「クルミタルト4つ」
「はい。28フランになります」
この店のモットーは誰でも買えること。プラス、安く、どんな時代にも対応し安定の美味しさを保つのです。
「ありがとうございました!」
「なんとか終わったようだね。イリス、ジャンヌ、エマ。今日はクリスマスイブだろう?お昼を食べたら準備をしよう」
「「は〜い!」」
フランスのクリスマスイブ。それはクリスマスツリーや飾り付け、ご馳走を食べたりする特別な日。クリスマスプレゼントも用意して、25日の朝に開けるのです。
「クレッシュ・ド・ノエルはこっち〜」
「ツリーどこに置く?」
「ツリーはそっちだ。これで大体は揃った」
気づけば、リビングは綺麗に飾り付けられたクリスマス雰囲気の部屋になっていました。日は暮れ、冬の寒さがやってきます。
「窓開いてる…?めっちゃ寒い…」
「ナポレオンが負けたのも納得できるかも」
窓を閉めると共に、料理人さんと店長が食べ物を運んで食卓に置きました。いい匂いが部屋に立ち込めます。
「レヴェヨンだ〜!」
レヴェヨン。フランスのクリスマスイブに食べる豪華ディナーのことです。今年はスモークサーモンに生牡蠣。七面鳥にシャポンにブータン・ブラン、ウニ、ブッシュ・ド・ノエル、ワイン、シャンポミー。様々な豪華な食べ物と飲み物が食卓に並んでいました。
「みなさん食べましょう!」
料理人もノリノリです。
「「「はーい!」」」
席につくと、シャンポミーとワインをグラスに注ぎます。
「ではみなさんご一緒に」
「「「Joyeux Noel!」」」(メリークリスマス!)
みんなでレヴェヨンを食べ始めます。
「あっ!エマもう飲めるじゃん!」
「そうだよー。私はもう18歳。ワインを飲めちゃうんだ」
「味を知っちゃったわね」
「あまり飲み過ぎてはいけないよ。ミサに行くのだからね」
ミサ。フランスのクリスマスイブの20時頃から深夜にかけて教会で行われるキリスト教の祭儀です。酔っ払って行っても大丈夫なの?と思うかもしれませんが、ミサは厳粛かつ神聖な雰囲気。酔って暴れることはないそうですよ。
レヴェヨンを食べ終わると、マフラーを巻いたりトレンチコートを着たりして外に出ます。レ・キャフェイ・カデの鍵を閉め、ノートルダム大聖堂へ向かいます。
20時になると、礼拝が開始されます。ここでミサ曲が演奏され、23時になると聖歌隊コンサートが歌われ、0時にもなると、ミッドナイト・ミサと呼ばれる祈祷をしたり、讃美歌を歌ったり、聖書を読んだりといった重要な部分を行います。こうして深夜1、2時辺りに終わるという、ミサは非常に長く神聖なものなのです。
「クリスマスイブも終わっちゃうね〜」
「まぁまだクリスマスがあるわ。楽しむわよ」
「そうだな」
深夜3時。彼女達は眠りにつきます。
「おはようー…」
「おはようエマ…」
「ジャンヌは?」
「もう起きてるよぅ…」
リビングに行くと、クリスマスツリーの下にはプレゼントボックスが置いてありました。
「イリス!エマ!おはよう!早く開けようよーっ!」
「朝から活発だなジャンヌは…」
クリスマスの醍醐味の1つといえばクリスマスプレゼントですね!彼女らにとって、サンタがプレゼントしてくれるその贈り物は特大イベント。ちなみに、日本と少し違うのは、家族全員にプレゼントは渡されるのです。
「イリスは服だっ!可愛い〜」
「私は香水だな。いい匂い…。ジャンヌはどうだ?」
「私は靴!お洒落…これで早く歩きたいわね…」
「店長と料理人さんはどうだろう?」
下に降りると、店長と料理人さんがそこではお喋りを楽しんでいました。
「店長!プレゼントどんなのもらったの?」
「私はワインだ。いい品だよ」
「僕は新しいコックコートだ。確かに、汚れも落ちなくなってたしちょっとヨレヨレだったなぁ…」
フランスのクリスマス当日はのんびり過ごすそうです。この日も、食べ物は豪華になります。
こうして、レ・キャフェイ・カデも平和なクリスマスを過ごしたのでした。




