学年末試験
どうせなら間に合わなければ良かったのに、こういうことに限って間に合ってしまう。
「なあ殿下、どうせならあと3日くらい遅らせることはできなかったのか?」
「すっかり忘れてたなあ。」
「今回は僕も諦めてるよ。」
「さすがにこんな状況だから、学校も何か考えてくれるとは思うよ。」
「例えば一週間くらい休んでていいとか。」
「そんなに元気なのに?」
「帰ってきていきなりテストなんて、どんあ元気なヤツでも意気消沈してしまうだろ。」
「しかし、無理してでも受けておいた方が、先生方の心証が良くなると思うよ。」
「全く、ドウェインちだったら、喜んで休ませてくれると思うんだがな。」
「その代わり、反省会と鍛錬の日々だと思うよ。」
「どう考えても俺たち、生まれる家を間違えたよなあ。」
「それは言えるよ・・・」
「まあ、とにかく試験だけは何とかこなそう。」
みんな準備不足も甚だしいが、得点無しよりはよほどマシだと信じて試験に挑む。
設問の多くは3学期に授業を行った部分ではあるが、学年末試験なので1、2学期履修範囲からも出題される。何とか赤点は回避できるだろう。
「ドウェイン君は大丈夫だと思うけど、出来はどうだった?」
「まあまあかな。少しは冬休みの間に予習もしてたし。」
「俺はさっぱりだな。来年はC組かもな。」
「でも、落第はないでしょ。」
「俺は明日の実技が本番みたいなもんだからな。」
「馬術と剣術、魔法ならニコラス君はトップレベルだからね。」
「殿下はそれでもかなりできたんでしょ?」
「残念ながら学年一桁は厳しいかな。」
そして実技。
これは私たち三人いずれも得意なので特に不安は無い。
難なく課題をこなして試験は終了し、早くも翌日には試験結果が掲示される。
「まあ、こんなもんだろうね。」
首席は相変わらずジェニファー嬢で、ドウェイン君が4位、私が7位、ニコラス君が88位だった。
「お国のために働いてC組落ちなら、言い訳も立つってもんだぜ。」
「まあニコラス卿、来年は違うクラスになりそうですわね。」
「お前と違うクラスになれるのが、唯一良い所だな。」
「それは単なる負け惜しみでなくって?」
「さすがに勉強ではお前に敵わねえな。それ以外は全て俺が勝ってるがな。」
「それ以外もほとんどあなたは負けておりますわよ。」
「それでも戦争に行ってた殿下に負けてるじゃないか?」
「殿下に勝つなんて不敬な真似、できる訳がありませんわ。」
「それこそ言い訳じゃねえか。殿下の上に居る6人は不敬じゃあるまい?」
「それは臣下としての心構えの違いですわ。」
「それを口に出すのは殿下に対して不敬だぞ。」
「それは・・・」
口はニコラス君の方が立つようだ。
「まあまあ、みんな頑張った結果だよ。私も次は頑張るよ。ニコラス君もA組に復帰できるように協力するから。」
「まあ、勉強はそこそこでいいんだがな。」
「C組はそこそことは言いませんわ。」
「まあ、俺にとっては帰ってからの親父とのバトルが本番なんだがな。」
「今回はさすがに許してくれるんじゃないの?」
「殿下やドウェインの成績と比較したら、許してもらえるとは思えないんだよな。」
「大変だねえ・・・」
「それと、成績不振で生徒会クビにはならないのかな?」
「昨年度の実績に問題はないからねえ。別に成績が生徒会入りの条件じゃないし。」
「そうなのか?別にいいんだけどなあ。」
「同じレベルの人同士で選ぶ際に参考にするくらいじゃないの?」
「私は生徒会入り間違いないですわね。」
「まあ、ゴールドバーグ嬢なら、文句なしだろうね。」
「やはり、殿下の隣にはこの高貴な私が相応しいですわっ!オッホッホ!」
「こんなヤツでも・・・」
「あなたがいるなら、私は確実ですわ。」
「まあまあ・・・」
「来年度はさらに賑やかになることだけは確実ですね。」
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今日、試験結果が出たわ。
総合で42位。これで何とかBクラス入りは堅いわね。
もちろん、きちんと回答すれば自己採点で15番くらいに入れる実力はあったけど、アタシの狙いはあくまでイリアちゃんと同じクラスになることだったからね。
彼女も36位だったから来年は揃ってB組ね。
これで殿下やジェニファーともお別れだし、かなり精神的に楽になるわ。
もちろん、イベント回避も容易になるわね。
実際のゲームではBクラス落ちは難易度が跳ね上がるけど、今回のアタシにとってはこれがベストの結果ね。
それにしても、戦争は起きちゃったし、魔王も倒されたって話を聞いたし、流れはバッドエンド一直線なのに、上手く解決できているは不思議ね。
これからどうなっちゃうんだろう・・・