合コン
結局、フラワーさんも生徒会室の住人になった。
同時に、ジェームズ先生も生徒会顧問に就任した。
これはフラワーさんたっての要望である。
「僕、普通の結婚生活を送りたかったんだけど・・・」
「取り憑かれてるだけだから、気にするなよ。」
「ルシアたんに祓ってもらおうかな・・・」
「お前の依頼なんか聞いてくれるもんか。」
もうすっかり殿下と先生は仲良しだ。
「でも、来年のお化け屋敷はさらにパワーアップだね。」
「それは間違い無いね。何せ、人を恐怖に陥れる本職が加わった訳だからね。」
「それは任せてちょ~だ~い。」
フラワーさんはジェームズ先生にベッタリだ。
「それで、そろそろご令嬢方が集まってくる時間だが。」
「僕も参加しちゃだめかい?」
「何浮気してんだよ。ダメに決まってるじゃないか。殿下はお前なんかと違って切実なんだぜ。」
「僕も切実なんだけど・・・」
「こんなヤツほっといて行こうぜ。」
私はローランド殿下とともに隣の部屋に移動する。
もうすでに多くのご令嬢方が集まっている。
「今日はミッチェル殿下をゲストに招いたからよろしく。」
「光栄です。殿下。」
たちまちご令嬢方に取り囲まれる。
でも、こんな決め方でいいんだろうか・・・
部屋には殿下とダンジョン攻略パーティーを組むいつもの四人や比較的一緒に居ることが多いアリス・シートン、ルイス・ファーマン、マリリン・チェーザーといった伯爵令嬢ほか、クラスメイトのクローディア・アンダーソン嬢やユージェニー・ステップニー嬢などもいる。
そしてテーブルにはそれぞれのお付きが用意したお茶や菓子が並ぶ。
ただ、照明がブラックライトなのはどうなのかなあ・・・
「みんなお菓子は何が好きなのかな。」
「私はパリトロが好みですわ。」
「いいですわね。」
「私は断然、カヌレです。」
「私はタルトタタンですが、殿下ならどれが良いと思いますか?」
「俺はオーソドックスにリンゴのヤツがいいな。」
「ミッチェル殿下はいかがですか?」
「私はテリーヌのチョコかな。」
「どれもいいね。最近評判のお店なんかあれば、教えて欲しいな。」
「ダン・モーガンならどれを買ってもハズレ無しですわ。」
「ル・モンド・ミシェルが今は一番よ。」
「いいえ、やはり老舗のマダム・ローウェルよ。」
何か白熱してるな。
「じゃあ、次回はみんなお薦めを持ち寄って、ミッチェル殿下に食べてもらおう!」
「次も来ていただけるのですか?」
「え?ああ、そうだね。いつも隣の部屋にはいるしね。」
「嬉しいです。殿下とこうしてお話しする機会はなかなかありませんので。」
「そうです。お近づきになりたいと、いつも思っておりますのに。」
「殿下、あれを明かしちゃダメなのか?」
「うん、まだ秘密だね。」
「え~っ!何でしょう、教えて頂く訳にはいかないのでしょうか。」
「私も、私も是非知りたいです。」
「まあまあみんな。今日のところはここまでだよ。殿下のことだからいつかはきっと教えてくれるさ。」
「そうですね。ご無礼いたしました。」
「いやいや、今日ははそんな固い場じゃないから。」
「よろしいのですか・・・」
「さあさあ、じゃあ、来月の舞踏会でデビューする人いる?」
「私です。」
「他の1年生は去年デビューしたの。」
「はい。ここにいる方はユージェニー以外はデビューしておりますわ。」
「私とキャシーは男爵家なので、内輪でお披露目するだけなのです。」
「そうなんだ。」
「じゃあ、春になったらこのサークルで舞踏会をやろう。もちろんミッチェル殿下も参加で。」
「嬉しいです。是非一曲、ご一緒したいです。」
「でも、ジェニファー様がいらっしゃるのに、よろしいのでしょうか。」
「気にしない気にしない。これはバレッタ第一王子主宰だから。」
「キャーッ!」
もしかして私、そこそこモテるのかなあ・・・
「じゃあみんな、どんなドレス着てくるの?」
「私はデビュタントのドレスをもう一度着ます。」
「私たちは、その・・・」
「希望者がいれば、俺からプレゼントさせてもらうけど。」
「よろしいのですか?」
「ミッチェル殿下は場所を用意してくれる?」
「学校じゃないの?」
「マライヤとキャシーは登城する機会がないから、いい思い出になるじゃないか。」
「まあ、そういうことならどこか広間を一室確保しておくよ。」
「次の新入生が入ってからがいいかな。」
「私たちは卒業してしまいます。」
「もちろんルイス先輩とマリリン先輩はご招待しますよ。」
「嬉しいです。」
「ローランド殿下、ミッチェル殿下、本当に有り難うございます!」
こんな感じでたっぷり2時間は騒いだ。
しかし何だね。さすがはローランド殿下。紳士だし聞き上手だよ。
残念ながら、私ではとてもああはいかない。