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ハーレムサークル

 この学校にはサークルとか部活動は無い。


 無いのだが、生徒会にサークル活動申請が上がって来た。

 ローランド殿下のハーレムサークル結成許諾願いだ。


「殿下、さすがにこれは却下させていただきます。」

「この時代なら社会通念上、問題無いと思ったんだがな。」

「我が国の貴族社会と学校の風紀上、問題がありますよ。」

「名前が悪いのか?」

「恐らく、この名称から予想される活動内容にも問題があると考えられます。」

「アフタヌーンティー・サークルにしとけば良かったな。」


「殿下のことだから、どうせお茶だけで終わるつもりは無いんだろう?」

「ニコラスも入会するかい?」

「俺は妻一筋だからな。」

「とにかく、校内で行うにはあまりにも不適切だよ。」

「仕方ないだろ。俺は他国の人間なんだから。場所が無いんだよ。」

「いつも昼は庭で、放課後はご令嬢方のお屋敷でお茶してるじゃないか。」

「それぞれの屋敷まで往復するの遠いんだよ。それにこれから寒い時期になってくるだろ。」


「ここは街のカフェじゃないんだけどなあ。」

「そうか、生徒会室にご令嬢方を招待すればいいのか。」

「私たちを巻き込まないでくれよ。」

「なあ、空いてる教室を一つ貸してくれればいいんだよ。別にいかがわしいことをする訳じゃないんだからさあ。」

「じゃあ、お茶とお菓子だけね。飲酒禁止だよ。それと必ず複数で時間は16時まで。」

「おいおい、子供じゃねえんだし。」

「学校だから。」


「ミッチェル殿下の言いたいことは分かるだが、一度活動を見てくれてもいいんじゃないか?」

「まあ、それなら試しに一度視察してみようか。」

 と言う話になり、翌週にサークル活動の試行と生徒会の視察が行われる事になった。

 サークル活動は、生徒会事務室の隣をあてがった。目の届くところで無いと心配なのである。

 当日は、ローランド殿下が呼んだ二十名を超えるご令嬢で大盛況となった。

 みんな、ご令嬢らしからぬハイテンションだが、大丈夫なのだろうか・・・



「これは、何と表現すればいいんだろうね。」

「ローランド殿下がご令嬢方を侍らせているのは間違い無い。」

 一体、どこから持ち込まれたのか、大きな丸いテーブルと、それを取り囲むようなソファ。中央に殿下が座り、周囲を女性陣が固めるが、ちゃんと給仕している人もいる。

 どこの家の使用人なのだろう・・・


「ところで殿下、こういう活動ということで理解してもよろしいので。」

「そうさ。放課後の一時、上質なお茶とお菓子を前に、ご令嬢方と華やかに親睦を深めるサロン、ということでいいんじゃないかな?」


「しかし、ここでなくてはならない理由に乏しいですね。」

「毎月、日時を固定したいんだよね。雨や寒い季節を考えると外という訳にはいかないし、校内であれば皆さんも集まりやすい。」

「男性は殿下のみで?」

「生徒会役員なら大歓迎ですよ。」

「まあ!両殿下とお近づきになれるなんて。」

「ミッチェル殿下もどうか、お気軽にお越し下さいませ!」

 私までご令嬢方に囲まれてしまう。何でだろうなあ・・・


「後は、サークル活動となれば、顧問が必要ですが。」

「じゃあ、ジェームズ先生にお願いしようかな。」

「何か、あの先生なら引き受けてくれそうですね。」

「授業以外は、校内をフラついているだけだからな。」

 まあ、この程度なら何とか目を瞑れる範囲に収まっているだろう。

 そして顧問がいるなら、生徒会としても拒否する理由は無い。

 サークルの名称を「バレッタ・ウィンスロット友好懇談会」と変えてもらい、認めることにした。


「ところで、ローランド殿下の両脇のご令嬢は、お初なのですが。」

「アリス・シートン先輩とナティア・パルケット嬢だ。このスペシャルシートは日替わりの特等席さ。」

 なんか、昼なのにキャバクラ臭がする・・・

 よく見たら、お二方の肩を抱き寄せてる。

 素面なのによくやるなあ・・・


「じゃあ学園の華と蝶たちよ。レッツパーリィだ!」

 ご令嬢方は一斉に立ち上がる。

 何故か天井からミラーボールが下りてくる。

 テンコーまで使いやがって・・・


 私とニコラス君はそっと席を立ち、退室する。どうやらダンスが始まるようだ。

 ドウェイン君はご令嬢方に捕まってる。

 彼はそっちの修行はまだまだ足りてないみたいだ・・・

それにしても、結構厚い壁のはずなのに、ご令嬢方の嬌声がよく聞こえる。


「しかし、大音量だな。」

「テンコーって、あんなこともできるんだな。」

「きっと茶を酒に変えることだってできるぜ。」

「それ目当てに入り浸っちゃダメだよ。」

「俺のことより、ドウェインが変な方向に目覚めないかを心配した方がいいと思うぜ。」

「大丈夫だよ。もしそうなってもお父上が矯正するだろう。」

「それにしても、もう少し静かにできないものかねえ。」

「旧校舎に移ってもらったらどうだ?」

「いや、彼らから目を離すのは不安だ。」

「まあ、週一日らしいし、そのくらいは目を瞑ってやればいいさ。」


 これにジェームズ先生が加わり、さらに賑やかな会に発展していくことになる。


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