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合宿訓練

 さて、2学期の学校は行事が多い訳であるが、それはこの学校でも同じだ。

 体育祭の代わりに剣術大会があるし、文化祭もある。

何だか現代の学校みたいだ。


 そして1年生は合宿訓練もある。

 これは3年時に実施されるダンジョン攻略演習に先立つ野営訓練という意味合いを持つ。

 場所は交流会と同じ、湖畔の宿泊施設であるが、宿泊そのものは湖畔でキャンプを行う。

 今は荷物を満載した馬車の上だ。


「交流会もまあまあ楽しかったが、やはりキャンプはいいねえ。」

「ニコラス君はそうだろうね。」

「大人しく座って授業なんて性に合わないぜ。」

「それにしても、本当に馬車の扱い上手いよね。」

「そうだろ。俺の天職だよ。」


「ところで、今回は5人一組で行動するって話だけど、あと二人どうするの?」

「そりゃあ、婚約者殿を入れないといけないだろう。」

「いや、すでに断られたよ。」

「何でだよ。」

「それどころか、お妃教育が遅れているとかで今日は欠席だよ。」

「何だよそりゃ。」

「確かに、学校より優先されるもんね。」


「だが、ここで決めた5人でダンジョン攻略するんだろ?さすがにマズいんじゃないか。」

「そうだよね。これからその5人で行動することも増えるだろうし。」

「途中のメンバー交代は無いのかなあ。」

「それはあると思うよ。」

「だが理由無く交代させられないだろう。」

「まあ、私たちはこの三人ということで先生に頼んでみよう。クラスの人数的にあぶれる人がいるならその人を入れてもいいじゃないか。」

「まあ、そうするしかないね。」

 そうして湖畔に着いて大量の荷物を降ろした後、教頭先生の訓示を受けるため整列する。


「本日は1年生120名中、116名の参加による訓練を開始する。この中には実際に魔物と戦わない人生を送る者も多いが、皆で協力し、規律と協調性を学んで欲しい。以上だ。」

「では、これから班分けを行う。多くはもう決まっているだろうが、まだの者もいる。じっくり決めて、班ごとに整列せよ。」

「先生、別のクラスの人と組んでもいいのですか?」

「構わない。例年同じクラスの者が固まる傾向にあるが、それでは魔力の強いA組とC、D組との戦力差が大きくなるし、剣術に優れた生徒はむしろC、Dに多い。ダンジョン攻略研修で優秀な成績を残す班は結局、バランスのいい組み合わせだということに留意して欲しい。」

 そうして班分けが始まる。


「うちはバランスいいよな。」

「何と言ってもドウェイン君が物理攻撃では最強だからね。」

「でも魔物だっているんでしょう。怖いよ・・・」

「最強じゃ・・・ないかもな。」

「それで、誰を入れようか。」

「取りあえずは様子見だな。」

 周りでは次々に班が編制されていく。ローランド殿下は女子ばかり4人を加えたみたいだ。


「あら、殿下はまだお決まりではなくて?」

「ああ、ゴールドバーグ嬢。そうなんです。誰とも組んでいないフリーの方を待っているんです。」

「あら?他の人ならそれでもよろしいですが、さすがに殿下とご一緒は皆さん遠慮してしまうと思いますわ。」

「それもそうですね。」

「では、私が加わりましょう。」

「でもいいのか?お前の愉快な仲間達はどうするんだ?」

「変な呼び方はお止めなさって下さるかしら。あちらはカミラを中心に組ませますので大丈夫です。」

「そうですか。それはありがたいですね。」

「縦ロールじゃあまり役に立ちそうもないけどな。」

「まあ、それでも丁度4属性揃ったことだし、バランス的にはいいんじゃないかな。」

「聖剣持ちもいるしな。ダンジョン攻略最優秀は間違い無いな。」


 そう、あの時抜いてしまった聖剣は、陛下の判断により私が常時帯刀することになり、先週やっと鞘ができたところだ。

 何でも、いつ非常事態が起きるか分からない状況だから抜けたのだろうということだ。


「あと一人はどうするの?」

「そりゃ、婚約者殿のために空けておくしかないだろう。」

「まあ、彼女なんかいなくても、このキャロライン・ゴールドバーグが殿下の後ろをお守りいたしますけど。」

「コイツを前衛にしちまおうぜ。」

「そんな無粋なことを言う殿方はモテないのですわよ。」

「残念だったな。俺にはジュリア-ナがいるんだ。浮気なんてしないぜ。」

「まあまあ、せっかく一緒になったんだから喧嘩しないで。」


 こうして暫定4人のパーティーが結成され、先生に認めてもらった。

 ちなみに、ゴールドバーグ嬢の取り巻きは、彼女の一の子分、カミラ・エルドリッジ伯爵令嬢がリーダーのパーティーになったようだ。


「殿下もメンバーが決まったようだな。」

「ローランド殿下は見事にご令嬢方を揃えましたね。」

「ピンクちゃんを誘ったんだけどな。何故か断られたよ。」

「殿下でも断られることがあるんですね。」

「どうもアイツだけは上手く口説けねえんだ。不思議だよな。」

「しかし、見たこともないご令嬢もいるな。」

「各クラスで一番綺麗どころを誘ったからな。A組だけは三番だが。」

「ああ、聖女様ね。」

「二番は殿下の婚約者殿だ。まあ、物静か過ぎてパリピ向けではないがな。」

「基準が殿下らしいな。」

「ああ、今夜はパーティーだぜ。」

「羽目を外しすぎないよう、お願いするよ。」


 とにかく、合宿訓練は開始される。

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