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二学期始まる

 今日は9月1日。


 二学期が始まり、久しぶりに登校する。

若干お疲れ君のニコラス君と晴れやかな顔のドウェイン君を従えて教室に入る。

 約一月振りのクラスメイトたちだが、みんな特に変わりなく元気な姿を見せている。

 そして、私は早速ジェニファー嬢の元に赴く。


「おはよう。夏休みはどうだった?」

「あ、殿下、おはようございます。」

 彼女はすぐに席を立ち、頭を下げる。何か微妙な距離を感じる。


「お陰様で、勉強の捗りましたし、良い休養にもなりました。」

「それなら良かった。」

「・・・」

 ここで言葉が途切れる。かなり気まずい。

 というか、彼女の方から何か話題を振ってくる気配が全く無いのは寂しいし悲しい。


「それで、ジェニファー嬢。少しいいかな。」

「はい。」

「これから毎日でなくてもいいから、昼食とか勉強会とか、ともに行動する機会を増やしたいと考えているんだけど、どうかな?」

「えっ?」

「実は、陛下からも最近の様子について心配されててね。学校や城内で噂になっているらしいんだ。それはさすがに好ましいことじゃない。」

「そう、ですね・・・」

「また誘うから、気乗りしないかもしれないけど、付き合って欲しい。」

「分かりました。私のせいで申し訳ございません。」

 そこで先生が教室に入ってきたので、会話を中断せざるを得なかった。


 その後、始業式を終え、そのまま放課後になる。

 彼女を勉強会に誘ってみたが、明日の昼食をご一緒するとのこと。


 何か、私の方が悪いみたいな雰囲気になっているのは釈然としないが、あからさまに避けられている状況だから、まずはこちらが譲歩するほかない。

 こうやって上手く人間関係を誘導する悪人もいるが、彼女はそんな人ではないと信じたい。

 ということで、生徒会室にいる。


「今日は勉強会じゃなかったのか?」

「見事に断られたよ。」

「今のところ全敗だな。」

「明日、昼食をご一緒できることになったよ。二人も協力してくれるかい?」

「そりゃいいが、どうせドタキャンじゃねえか?」

「いや、約束は守ってくれると思うよ。」


「会長、次の七不思議ですが、いかがなさいますか?」

「ああ、それもあったね。みんなは何がいいと思う?」

「危険性が低いと思われるのは美術室と階段ですね。」

「校長もそれほど危険は無いと思いますよ。」

「夏休みに補習を受けた役員がいますが。」

「間違い無く説教をいただくことになりますね。」

「そりゃ、後回しにして欲しいな。それに、美術室と階段は夜中でなくてもいいんだろ。」


「でも、昼間に調査すると他の生徒が大騒ぎしないかなあ。」

「万が一のことがあってはいけないからね。」

「なら今日やってしまえばいいさ。」

「もう生徒は全員下校してるね。」

「先生方は授業の準備とかでまだいると思いますよ。」

「でも、キャロライン嬢がいないよ。」

「ああ、呼ばないとお怒りになるね。」

「ほとんど戦力にならねえけどな。」

「でも、ジェームズよりは強いぞ。」

「そういや、やっつけちゃったらしいね。」

「ああ、無詠唱の魔力放出だったが、あれは鍛えたらいい軍人になると思うぞ。」

「侯爵令嬢だから、それは無いと断言できるよ。」


「じゃあ、今日は止めておくとして、次は階段か美術室でいいかな。」

「いいぜ。」

「階段を調査して、時間があるようなら美術室にも行くか。」

「しかし、ちんけな七不思議だよな。」

「確かに・・・」

「普通に考えれば、階段は数え間違いだし、美術室のは気のせいだ。」

「階段はペンキで段数を書いておけば解決じゃないかなあ。」

「じゃあ、ペンキは準備しておこう。」


「鏡の妖精さんは何か知ってるのでは無いでしょうか。」

「ああ、せっかくだから聞いてみようか。」

 鏡の妖精は、呼べば出てきてくれるようになった。


「鏡よ鏡よ鏡さん、お出ましいただけると嬉しいのですが。」

「は~い!ミントちゃん登場よ。呼んでくれてありがとー!」

 鏡の中から飛び出してきた小っちゃな妖精さんは、そのままオリヴィア先輩の胸に飛び込む。

 こうしてみると、なかなか可愛い。


「あの階段、誰が悪さしてるのか知ってるかい?」

「う~ん。何かいるのは知ってるけど、妖精じゃないよ。」

「幽霊かな。」

「それに、いつも階段にいる訳じゃないよ。たまにアタシのいた階段にも来てたよ。」

「この学校って、不思議なのがいくらでもいるな。」

「こちらも相当戦力を集めておかないとヤバいんじゃないか。」

「でも、これまで何十年も死者は出なかったんだろうし、大丈夫じゃないかな。」

「取りあえず、一度詳細な調査を行ってからだね。意外とあっさり解決してしまうかもしれないし。」

「じゃあ、明日の放課後、みんなで調査はやろう。」

「ミントも行きた~い!」

「まあ、他の生徒に見つからないようにしてくれるならいいよ。」

「そうだな。この学校に一番詳しいの、この妖精だろうからな。」


 ということで、明日の放課後に調査することが決まった。


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