何故か湖水浴
すみません、間違えて後のエピソートを先に掲載してしましたした。
お詫びの上、訂正させていただきます。
交流会二日目のメインイベントは、ブランドン湖での水遊びである。
この時代のご夫人ご令嬢方が水着姿になんかになるのか?なんて思ったがみんな堂々としたもんだ。
ただ、実際に泳げる人は皆無で、ほとんどが水辺でバシャバシャやっている。
「しかし、ビキニって存在したんだな・・・」
「私もそれは思ったよ。ドレスのまま泳ぐのかと思ってた。」
「さすがにそれじゃあ湖水浴じゃなくて水遊びだがな。」
「せいぜいセパレートだよね。」
「まあ、貴族のお嬢様方ならな。しかし、従者に手伝ってもらわないと、あれ着るの無理じゃねえか?」
「そうかもね。しかもスクール水着みたいな地味で無地なものかと思ったら。」
「まるで真夏の湘南だな。」
湘南もあるのか・・・
「デラニー先生はボートに乗ってるね。」
「あれも楽しそうだよね。」
「さて、私たちは見回りに行くとしますか。」
生徒会役員は基本的に巡視要員である。
まあ、足の付かないような所まで行く生徒はいないと思うが、波打ち際の浅い所でも事故は起きると聞いたことがある。
そうして見回っていると、予想どおりローランド殿下がみんなとキャッキャしてた。
「殿下なら絶対サボってると思ったぜ。」
「おう、ニコラスじゃないか。どうだい、一緒に遊ばない?」
「しかしまあ、見事に女子しかいねえじゃねえか。俺はジュリア-ナ一筋だから、ちょっとマズいかな。」
「じゃあドウェインはどうだい?」
「いや、僕はどこに目をやったらいいか分からなくて・・・」
「こういうのは慣れが肝心だぜ。」
「ドレイン様もミッチェル殿下も是非、私たちと楽しみましょう。」
「私も皆さんとお近づきになりたいです!」
「ほら、お嬢さん方もこう言ってるんだ。三人とも許嫁はここに居ないことだし、たまには羽を伸ばしてもいいんじゃないか?」
「まあ、見回りの合間に少しだけお邪魔することにするよ。」
「真面目だなあ。交流会は生徒会メンバーにとっても交流の場だぜ。」
「だからといってローランド殿下みたいに100%女子との交流って訳にはいかないよ。」
「そうは言うが、ドウェインは結構女子の注目の的なんだぜ。」
「そうなの?」
「そりゃ、そんなマッチョで中身は控え目な紳士だ。後はトーク力さえ磨けば完璧だぜ。」
「私たちもドウェイン様とお近づきになりたいと常日頃思っておりました。」
「学業も優秀ですし、生徒会にも選ばれておりますし。」
「お父上は騎士団長で殿下の側近でもございますし。」
「ドウェイン君、モテモテだね。」
「じゃあ、取りあえずドウェインを貸し出すぜ。俺と殿下で見回りしてくる。」
「そんな・・・」
ドウェイン君を生け贄にして巡回を再開する。
男子のみ、女子のみのグループもいるが、割と男女の交流はできているみたいだ。
何となく合コンの雰囲気に似てる。
浮き輪やビーチボールを持ち込んでいる生徒もいるが、そんな物まであるんだなあ。
そうしてビーチの端までやって来ると、沖で何かバシャバシャしている人がいる。
「ニコラス君、あれって・・・」
「溺れてるのかな?」
「おーい!そこの人、大丈夫か!」
「た、助けて!足がつった!」
「いかん、殿下はデラニー先生を呼んできてくれ。俺が泳いで助けに行く。」
言うなりニコラス君は沖に向かって駆け出す。
私は少し離れたデラニー先生のボートに向かう。
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今日はこの交流会一番のお楽しみ、水泳だ。
前世ではプールや海水浴に誘える友達なんていなかったし、あれって一人で行くのハードル高いもんね。
「君たち、あまりはしゃぎすぎてはいけないよ。」
「はい。先生。」
まあ、一番はしゃいでいるのは僕の心なんだけどさ。
そしてビーチの隅々まで巡回し、全ての女子を舐めるように観察する。
でも不思議なのは、誰も僕を誘ってくれないことだ。やはり、こういった生徒が羽目を外す場所に、立場の違う大人は入っていけないということなのだろうか。
それが証拠に、先生方はみんな単独で巡回か、先生同士集まって待機しているし。
そう思いつつ、先生方が詰めているテントに戻る。
「お帰りなさい、ジェームズ先生。」
「ビキニがとてもお似合いですよ、クレア先生。」
「ありがとうございます。」
「どの生徒よりも美しいですよ。」
「まあお上手なこと。でも、別に彼女たちに張り合ったわけではありませんの。」
「ええ、生徒達でははなから勝負になりませんものね。」
一応、おべっかのつもりだったが、よく見るとクレア先生はなかなかのバディをお持ちのようで、慣れない僕はドギマギしてしまった。きっと顔も真っ赤になっていたはずだ。
まだたかちゃんは、ジェームズのポテンシャルを活かしきれていない。
その後は、ほかの先生方を交えて世間話に花を咲かせる。
やはり僕はこっち側の人間なのか、と少し寂しい思いになる。
そうこうしているうちに日は高くなり、テントの中が暑くなってきたので、少し泳ごうとビーチの端に移動した。
「やっぱり湖水は冷たいよね。でも、このくらいが気持ちいいんだ。」
僕は沖に向かって泳ぎ始める。
そんなに泳ぎが得意な訳じゃ無いが、50mくらいなら足をつかずに泳ぐことができるんだ。
そう得意げに泳いでいると突然、足をつった。
所謂こむら返りというヤツだ。何で小村なんだろう・・・
いや違う、そうじゃ無い。咄嗟にマズいと思い、足をつこうとするが・・・届かない。
もうそんなに深い所まで来てたの?
そこからはパニックになり、よく覚えていないが、デラニー先生が漕ぐ船の縁にしがみついていた。
「ジェームズ先生、大丈夫ですか?」
「ああ、ありがとう。僕は無事だよ。」
「何があったんですか?」
「急に足がつってね。教師なのに面目ない・・・」
その後、先生方にテントまで運んでもらい、そこで大人しく待つことになった。
お昼のBBQも何か気恥ずかしくて、テントの中でいただいた。
また、女子からの評判が落ちたんだろうなと凹みながら、湖水浴を終えた・・・