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学園に復帰する

 その後は少しづつ余裕が出てくるのかなあ、何て思っていたが甘かった。

 卒業後に控えた立太子と挙式の準備で大忙しになってしまった。


 陛下からは、お前の仕事が遅くなればなるほど全ての予定が狂っていくぞと脅され、徹夜上等で働いた結果、文化祭の直前まで学校の復帰が遅れてしまった。

 桜井さん、もといジェニファーが手伝ってくれなかったらこのまま卒業になってた。


 ちなみに、剣術大会はニコラス君が優勝してた。

 そして今日は、文化祭の出店の予行演習のついでに、みんなでタコパをやっている。



「生徒会のみんな、大変そうですよ。」

「大変なのはテンコーだけじゃないのか?」

「経験者が二人しかいないからね。それで、ニコラス君のクラスは何するの?」

「A組と同じで出店だよ。ヨーヨー釣ったり金魚すくいしたり。」

「もしかしてD組って・・・」

「いや、あれは禁止された。子供が怖がって泣き出しちゃうからね。」

「お化け屋敷だってそうだろ?」

「いや、物を壊すって不健全極まりないよ。今年は大人しくバザーをやるみたい。」

「あいつらがか? できるののか?」

「泣いてたよ。先生が。」

「そりゃ、アイツらを相手にすりゃ、そうだろうな。」


「よし、準備は全て整った。今から焼くぞ。」

「おおっ!ついにか。」

「殿下のお手並み拝見します。」

「ああ任せとけ。大阪人のプライドを賭けて最高のたこ焼きを作ってやる。」


「しかし、よくあったなあ、たこ焼き器。」

「いや、特注だよ。この世界、日本にある物なら何でもあるかと思ったら、関西の物はあんまり無いんだよね。」

「スタッフが東京の人ばかりだったんだろうな。」

「ソースもウスターしかないねん。星ト○ボとは言わんけど、せめてオ○フクはあって欲しかったわ。」

「殿下、安西はんになっておまっせ。」

「ああごめん、つい・・・」


「しっかし、手際がいいもんだな。関西人はみんなこうかい?」

「上手い下手はあるけど、大体はみんなやったことあると思うよ。私も家では一手に焼いてた。こればっかりは家族にだって譲れないね。」


「でも、タコも鰹節もあったんですね。」

「青のりもキュー○ーマヨネーズもあるからね。だから本当にソースが惜しい。」

「じゃあ、ウスターソースなんですか?」

「いや、砂糖や醤油、ケチャップなんかを加えて自作したよ。」

「へえ、さすがだな。」

「でもこれって、殿下以外の生徒は作れないですよね。」

「みんなは販売を手伝ってくれたらいいよ。」

 千枚通しを刺して手早く形を整える。


「器用なもんだねえ。」

「もうすぐ焼けるよ。飲み物を準備してくれるかな。」

 みんなが席に座り、たこ焼きが運ばれる。


「さあ、殿下には申し訳ないが、みんなで始めよう。」

「私は後からいただくから楽しんでよ。」

 私の手には、第二弾のタネがしっかり握られている。



「これ、なかなか美味しいわね。」

「中がトロっとしていない所は昔ながらですね。」

「うん、そうなんだ。あれって初めての人は必ず火傷するでしょ。文化祭に出すにはハードルが高くてね。」

「おいジェームズ、それは俺のだろ。」

「そうよジェームズ。生徒のものを取るなんて、恥ずかしいわ。」

「いや、僕だって食費削ってるからハラ減ってるんだよ。」


「全くお前、人間ができてないな。」

「教師に対して」

「何だ?俺はお前の倍、生きてんだぜ?」

「いや、それは以前の話であってさあ。それに、ドウェイン君よりは年上だよ?」

「ドウェインの方が立派な大人じゃねえか。少しは見習え。」


「でもクレア先生、よくこんな情けない殿方をお選びになったものですわね。」

「以前のジェームズ先生は憧れの天才教師でしたが、今はちょっと目を離すと心配で心配で。」

「先生、苦労されると思いますわ。」


「だが、コイツが真っ当な人生を歩みたければ、クレア先生に面倒見てもらう以外の方法が思い付かないからなあ。」

「せめて日本の恥にはなるなよ。」

「みんな、酷すぎるよ・・・」


「第二陣焼けたよ。ブレンダさんもイリアさんも遠慮しちゃダメだよ。ついでにジェームズ先生も食べて。」

「ありがとうございます。安西様。」

「ところで、ジュリアーナ嬢はお父上を説得できたの?」

「もちろんです。文句言いたそうでしたので、ハッ倒した上にメガネを踏んづけてまいりましたわ。」

「さすがでございますわ。それでこそ、私と共に歩む視覚があるというものです。」


「ニコラス君、大丈夫?」

「じゃじゃ馬は慣れてるぜ。」

「じゃじゃ馬とはどういうことですの?」

「そうです。無二の相棒では無かったのですか?」

「ああ済まなかった。失言だったよ。」

 うん、何となく分かった。


「ローランド殿下も上手くやれてるみたいじゃない。」

「まあ、あちこちで別れ話をするのは大変だけどな。それより本当にいいのか。聖女様をバレッタに連れて行って。」

「もちろんだよ。何かあった時はよろしく。」

「ああ、こっちこそ何かあった場合は頼むぜ。ジェームズは強制な。」

「ええ・・・」

「殿下、第三弾が必要だぜ。それにそろそろミントたちも来るんじゃないか?」

「そうだね。取りあえず準備した分は全部使うよ。」


 この世界に来て2年半。

 本当に仲間が増えたと思う。


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