表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/169

ターレンの街

 マルシャ遺跡を出発して一週間。

 途中山越えをしてロフェーデ王国東部のオリャール地方に入った。


予定ではこの地方の中心地であるターレンに到着しているはずだったが、モンスターや魔族の出現が多く、予定は大幅に遅れている。


「山超えたらいきなり敵が増えたな。」

「ファルテリーニ軍は大丈夫かしら。」

「軍なら大丈夫じゃねえか?物資さえあれば。」

「でも、連絡を絶ってから2ヶ月以上が経ちます。さすがに心配ですわ。」

「この先にミノちゃんいるよ~。」

「うん、3匹いたよ~。」

「分かった。では、騎士団はここに残って馬車の護衛、討伐は我々のパーティーで行う。総員配置に着け。」

「はっ!」

 私たちが前進すると、1kmほど先の街道上にミノタウロスが鎮座していた。


「アイツら、何してんだろうな?」

「僕たちを待ち構えているのかな?」

「俺たちが来なかったら、ずっとあそこで待ってるつもりか?」

「じゃあ、試しに別の道を通ってみるかい?」

「いや、あの程度、やっちまった方が早いぜ。」


 こちらが隊列を組んだ状態で近づくと、ミノタウロスたちもこちらを見つけたようで、突っ込んで来る。


 先制は後衛の魔法だ。さすがにあの巨体が3頭も突っ込んできたら後衛に被害が出てしまう。

 彼らを分断しつつ突進を止めていく。

 その間に、ニコラス君とドウェイン君が左右に展開し、ミノBとCを攻撃する。

 残ったミノAは私とフラワーさんで攻撃しつつ、後衛がミノの後ろに回って魔法攻撃する。


 ミノタウロスは魔法も使うが、知能は高くないため基本は物理攻撃である。

 気を付けないといけないのは突進攻撃と、興奮状態でヤケクソ気味に繰り出される火属性魔法だ。


 このパーティーで水属性魔法が使えるのは私だけなので、前衛をジュリアーナ嬢に替わってもらい、私が中衛の位置から魔法攻撃する。

 さすがに頑丈なミノたち。

 時間は掛かるが徐々に動きが鈍くなっていき、最終的には黒焦げの焼き肉になった。


「さすがに堅かったな。」

「生命力はずば抜けているよね。」

「じゃあドウェイン、ちゃちゃっと切り分けてくれ。」

「任せて。」

 ドウェイン君が風魔法で肉を切り分けていく。


「しかし、食べきれるかなあ。」

「干し肉にできればいいんだけどな。」

「コックさんならできるんじゃありません?」

「設備と薪が無いよね。」

「せめてもっと街に近ければなあ。」


 そうこうしていると、ミントたちが呼んで来てくれたのか、物資を満載した馬車が到着し、本格的な解体と調理が始まる。

 天下の往来を塞いでBBQなんていくら王族といってもあり得ないのだが、今は我々以外、人っ子一人いない。

 まあ、あんなものが頻繁に出てくるような所、人が来る訳がない。


「さあ、食事にしよう。」

「馬も休憩が必要だったし、丁度いいね。」

「コック同伴の旅っていいもんだな。」

「魔物さえ出なければ優雅な旅だよ。」


「しかし、これで街は無事なのか?」

「少なくとも物流は止まっておりますわ。」

「そうですわね。とても無事とは言えませんわね。」

「あと、どのくらいだろうね。」

「まだ3日くらいは掛かると思いますわ。」

「じゃあ、今日は水場を探して、そこで休むか。」



 そして4日後、我々はターレンの街に入る。

 街は大きく破壊されており、あちこちで煙が立ち上っている。


「やられたな。」

「ああ、人もほとんどいないね。」

「逃げたか、あるいは・・・」

「魔物に襲われたのでしょうか。」

「間違い無い。戦場になったのなら軍民問わず、もっと死体が転がってるもんだ。」

「我が民を・・・許せませんわ。」


「それで、これからどうする?」

「取りあえず、ここの領主の館を拠点にしよう。周辺の情報を集めて今後の進軍経路を決めよう。」

「そうだな。」

「ミント、テンコー、索敵よろしく。」

「まかせてーっ!」

「やっぱり、疲れ知らずが沢山いると助かるな。」

 そして、街の中心にある領主の館に入るが、生き残った僅かな住民が隠れていた他は誰もいなかった。

 調度品なども激しく壊されていたものの、略奪の形跡はなかった。


「やっぱり魔物だね。」

「ああ、金目の物が残っているということは、さほど知能の高くないヤツらの襲撃で間違い無いな。」

「まあ、建物は比較的無事だし、ここを拠点にしよう。」


 こうして情報収集を進めた結果、北に約100kmの所に真新しい城があるとのこと。

 マルガレーテ殿下に確認したが、そんなところにロフェーデの城郭は無いとのことだ。

 みんなが敵の本拠地に間違い無いというので、我々はそこに向かうこととした。

 さて、次は何が出てくるのか・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ