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豪華メンバー、揃う

 さて、陛下から出撃命令を受けた翌日、教室に入るとローランド殿下がやって来た。


「ミッチェル殿下、ルシファー討伐に行くんだってな。」

「ああ。まあ聖剣持ってる手前、仕方無いよね。」

「実は俺もバレッタ軍を率いて参戦するようにと使いが来た。殿下のパーティーに混ぜてもらうぜ。」

「それは心強い。大歓迎だよ。」

 これは思わぬ助っ人だ。

 彼なら賢者的立場だし、パーティーのバランスは飛躍的に良くなる。


「まあ、何のお話かしら?」

「ああ、キャロライン嬢にジュリアーナ嬢。」

「高貴なドリルには関係無い話だな。」

「まあ失礼な。両殿下とドウェイン様がお離しになっているなら高貴なお話ですわ?それで何かしら。」


「ああ、堕天使ルシファーがダンジョン研修の時に出たでしょ。あれが本物だって教会が認定したんだ。それに加えて今、ロフェーデで怪異が続いているから当抜群を編制して私たちがそれを率いることになったんだ。」

「まあ、それは大変ですわ。私もパーティーのメンバーとして参加しなくてはなりませんね。お泊まりになりますからお父様に承諾をいただかなければ・・・」


「おいおい、まさかお前、来るつもりじゃねえだろうな。」

「この一大事に私の協力な火力を使わない手はないでしょう?」

「堕天使にドリルは何の役にも立たないと思うぞ?」

「いいえ、私の高貴なる覇気で落ちぶれ天使ごとき、跪かせてみせますわ。」


「殿下、ロフェーデのことなら、私も参りますわ。」

「ジュリアーナ嬢までもかい?」

「確かに魔術は苦手ですが、戦力にはなりますわ。土地勘もございますし、足を引っ張りはしませんわ。」


「いやしかし、ジュリアーナ嬢はファルテリーニの許可がいるし・・・」

「私がファルテリーニ軍の総帥になってみせますわ。これでも宰相の娘ですもの。コネで押し込んで見せますわ。」

「そうです。高貴コンビで戦力アップでございますわ。」

「いや実は、これに聖女ルシアも加わる。」

「さらにパワーアップではありませんか。ニコラス、邪魔です。あなたは留守番してなさい。」

「何言ってんだお前。殿下の側近だから行くに決まってるだろう。」


「ねえ、もうこうなったらテンコー達も連れて行けば?」

「それはいいね。新会長の許可が必要だけど。」

「いや、絶対勝手に付いてくるよ。」

「これはかつてない豪華メンバーだね。」

「あら、そういえば自ら名乗りを上げるべき方が一人、教室の隅で震えておりますわね。」

 うん?そんな人・・・・もしかして。


「あ~らジェニファー様、私より高貴なはずの公爵家出身で高貴を極めたミッチェル殿下の婚約者様が耳を塞いで震えていらっしゃいますわ?」

 キャロライン嬢は腕組みをしながらジェニファー嬢の元に歩み寄る。


「あの、殿下、ジェニファー様って。」

「ああ、ジュリアーナ嬢、ちょっと耳を貸して。」

「はい。」

「実は大きな声では言えないけど、彼女との婚約解消はまだ公になってないんだ。」

「ああ、確か卒業までは秘密でしたわね。」

「ああ、だから話を合わせてて欲しい。」

「分かりましたわ。」


「まさか、私やジュリアーナ嬢、ルシア嬢が戦場にまいりますのに、良いご身分ですこと。」

「それだけお歴々が揃っていれば、私など不要と存じますが。キャロライン様こそ、足を引っ張って命取りなどということにならないよう、ご辞退された方が身のためではありませんこと?」

「人の勇気をさげすむなんて、貴族としての矜持と恥じを知るべきですわ。」


「身の程を弁えよと言いたかったのですが、身分が高貴なだけではご理解いただけませんでしたか。」

「まあ!後ろで震えているだけの小物に身の程を説かれてしまいましたわ。でも、守られるだけで国のトップが務まるのであれば、最早身分などいりませんわ。恥知らずの言葉など、何の価値もございません。速やかに貴族籍を抜けて市井でお暮らしあそばせ。」


「まあまあ、そのくらいにしとけ。ジェニファー様、差し出がましいこととは思うが、あなたもパーティーの一員。こんなのがいるから手を上げにくいとは思うが、これも何かの縁だ。一緒に来ないかい?」

 さすがはニコラス君。なんだか尊敬した。


「そうだね。共に行こう。」

「分かりました。」

「そうだよ。ジェニファー様の闇魔法は唯一無二なんだから。絶対強いはずだよ。」

「そうだな。俺もジェニファー嬢が隣にいると心強いぜ。」

「皆さん・・・」


「ま、まあ、皆さんの総意なら仕方ございませんわ。特別に後出し加入を認めて差し上げますわ。」

 ということで、結局何人になったんだ?

 テンコー、ミント、フラワーさん、ご先祖様に私たち8人を加えて12名か。

 ブレンダ嬢も来たがっていたけど、さすがに従者までは連れて行けない。

 みんなで止めて放課後に闘技場に集合と相成った。



「さて、無事にテンコーたちも合流できたし、連携の訓練をしよう。」

「どういった戦いを想定してるんだ?」

「基本は野戦形態だね。ダンジョンのような狭いところのフォーメーションなども決めておきたいね。」


「これに軍が加わるんだろ?」

「騎士25名、魔導師25名で編制したいって話だったよ。」

「じゃあ、後方は軍人に任せて我々は前衛に徹したらどうだ。」

「ダンジョンはそうなるね。野戦なら戦場が広いから、騎士にも前に出てきてもらった方が良いと思う。」

「そうか。そうだな。」


「俺たちはミントが斥候、前衛がニコラス、ドウェイン、ミッチェル殿下、フラワーさんで中衛がジュリアーナ嬢、後衛が俺、ルシアちゃん、キャロ、ジェニファー嬢、ヴィヴィアン様で遊撃がテンコーって布陣でいいんじゃないか。」

「ジュリアーナ嬢は後ろの護衛専属ってこと?」

「ああ、敵の数によっては前衛の網をすり抜けてくるヤツもいるだろうからな。」


「確かにそうだね。ミントはそれでいいかい?」

「お姉ちゃんもくるって言ってた。」

「さらに増えるか。最早これは一国の軍にも匹敵するぞ。」

「六属性全て揃ってるしね。」

「闇属性が魔族に聞くかどうかは分かりませんわ。」

「でも、魔族以外が使役されてる可能性もあるし、支援系の魔法なら味方に使うんだからいけるでしょ。」

「そうですね。頑張りますわ。」


 こうして、細部を確認したが、さすがは超一流のメンバーだ。

 堕天使と言わず、本物の魔王でもいけそうな気がしてきた。


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