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どのルートに入るか決めかねる

 ついに文化祭も終わっちゃったわね。


 学校生活も後半に入り、まともなエンドを目指すなら、そろそろ行動に移さないとヤバい時期になって来てるわね。

 攻略対象とは誰とも親しくなってないし、何なら殿下には婚約しない旨まで伝えてる。


 あれ以降、陛下から登城命令も無いから、その線はあまり心配する必要は無いわね。

同じクラスのニコラス様は、婚約破棄の噂があるけど、宰相様のご子息らしからぬ雰囲気でちょっと怖いわね。バグかしら?


 ドレイン様は紳士的な感じがするけど、マッチョな見た目はあんまり好みじゃ無いの。

 それに、婚約者のアナベル様ととても仲睦まじいので、あそこに割り込むのは人としてアウトね。


 じゃあ、後の二人はっていうと、全てにおいてアウトね。

 ぶっちゃけ、どっちもキモい。何かこのゲーム、ホントにクリアさせるつもりがあるのか疑問になるくらい、いろいろヒドいと思うわ。

 過去最高難度の恋愛ゲームよ・・・



「お嬢様、イリア様たちがお見えになりました。」

「ありがとう、アニーも一緒に来てくれる?」

「勿論です。お嬢様。」


 今日はイリアちゃん、タニアちゃん、ミリガンちゃんにアニーを加えてお泊まり会なの。

 夏休みに頑張ったから、教会が休みをくれて、文化祭の終わったこのタイミングで取ったの。


「みんな来てくれてありがとう。狭い屋敷だけど遠慮しないでね。」

「ルシアちゃん、ありがとう。」

「楽しみにしてたの。今日はよろしくね。」

「お菓子持ってきたの。みんなでいただきましょう。」


 このゲームでマトモなのが女子だけっていうのが悲しいけど、それでも彼女たちがいるからアタシもこうして楽しい学校生活が送れている。

 本当に彼女たちには感謝しかないわ。


 それから彼女たちと楽しくお茶をし、夕食、お風呂も一緒に入って、今はアタシの部屋で恒例の恋バナよ。

アタシも最近、こういう話題に付いて行けるようになったの。

 こういう状況にあるから必要に駆られて色々考えてたら、いつの間にかね。


 ちなみに、強制イベントの枕投げはすでにやったわ。

 小学校の修学旅行以来のことで、我を忘れるくらい楽しかったわ。


「それでそれで、イリアちゃんは誰が気になってるの?」

「う~ん、物静かで目立たず、家柄も釣り合ってる人がいいけど、逆に誰が良いと思う?」

「それはアーノルド君がいいんじゃない?男爵家だし。」

「でも、あの子次男だったんじゃない?」

「家継げないよ。」

 さすがチュートリアルキャラ。攻略対象を選ばない縛りがあるのね・・・


「アタシはC組のハワード様ね。何と言ってもお金持ちだから。」

 すでに貴族ですら無い。タニアちゃん思い切ったなぁ。


「でも彼、平民子女の人気No1らしいわよ。」

「それは今すぐ行動ね。」

「身分差アタックで攻略するしかないわね。」

「性格もいいよね。」

「あら、見た目もそこそこいいわよ。」

「そりゃ、人気の物件だもの。」


「それで?肝心の聖女様は誰が良いの?」

「私は・・・迷ってるわ。」

「聖女様なら王族でも十分だけど、ミッチェル殿下にはジェニファー様がいるよね。」

 その線が既に潰えていることを知ってるけど・・・


「じゃあ、隣の国の王族でもいいんじゃない?」

「そんなの、うちの国が絶対離さないよ。」

「私たちだって、ルシアちゃんが遠くに行っちゃうのヤダよ。」

「分かってるよ。アタシだって大人になってもみんなと一緒に遊びたいもん。」


「じゃあ、ミッチェル殿下の第二夫人ってのはどう?」

「そう言えば、ニコラス様が婚約破棄したって噂あるよ。」

「勉強はあんまりだけど、お父様は宰相だし、侯爵家だし、条件としては良いわね。」

「いいと思う?」

「うん、口調はちょっとアレだけど、なかなか殿方らしいと思うわ。」

「口調だけじゃなく、色々庶民っぽいけど。」

「でもでも、下手な殿方よりよっぽど女子に優しいよ。」

「そうね。そっち方面なら超優良だと思うわ。」

「勉強以外なら何でも率先して助けてくれるもんね。」

「話もお上手でとても楽しい方よ。」

「ルシアちゃん、今狙い目よ。思い切って行っちゃいなさい。」


「と、ところで、例えば、万が一、参考程度で聞くんだけど、ジェームズ先生ってみんな的にアリ・・・かな?」

「えーっ!まさかのジェームズ!」

「ないない。キモい!」

「Gよりかはマシ、って程度ね。」

 J、泣いてもいいわよ。


「ルシアちゃん、あれだけは絶対ダメ。」

「宗教的にも倫理的にもアウトね。」

「ルシアちゃん、そこまで自分を下げなくてもいいんだよ?」

 みんなに憐れみの目で見られちゃった。


「みんな大丈夫よ。アタシ的にもアレは無いから。」

「でもルシアちゃん、かなり粘着されてるよね。」

「あの手の男は気を付けた方が良いわよ。」

「結構いろんな子に声かけてるみたいだし。」

「よく建物の隙間とか目立たない所で目を光らせてるよね。」

「最近、黒のローブを気に入ってるみたいだね。」

 あの悪役の魔術師かな?


「あれで大人を演出してるつもりかしら。」

「Gにしか見えないけどね。」

「大人の魅力のない大人なんて、止めた方が正解よ。」


 つくづくいい友達を持ったなあと思う。

 こうして楽しい夜はあっという間に過ぎていく。


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