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文化祭準備

 さて、もうそろそろ文化の日。

 各クラスでも出し物が決まり、準備が本格化している。


 今日は放課後を利用して、それらの進捗状況のチェックだ。

 みんなで手分けすることとし、私とキャロライン嬢で2年生をチェックする。



「話がクラスは去年、バラバラを上演したんだっけ?」

「私の熱演は今でも語りぐさになっておりますわ。」

「そうなんだ。確か、主役だったんだよね。」

「主役ではありませんでしたが、高貴な役は私にしか務まりませんから。オーホッホッホ!」

「その2年A組は、何をするんだろう。」

「今年はお見合い相談所を開設するとのことですわ。」

「何でもアリだね。」


「学校外の一般の方でも無料相談に応じるそうですわ。まあ、さすがに個々の生徒と平民をくっつける訳には行かないでしょうが。」

「それもそうだね。」


「後、学生ではジェームズ先生のような拗らせた大人の対応はちょっと無理ですわね。」

「うん、それは何となく分かるよ。」

「そして、昼食時には集団お見合い食事会を行うようですわ。」

「ということは、料理を作る人たちもいるってことなんだね。」

「相談だけなら一クラスで取り組むほどのスタッフは必要ありませんからね。もちろん、昼食会だけは実費をいただく予定ですわ。」

「盛況だといいね。じゃあ、他のクラスも確認してみよう。」


 2年B組は回転寿司だそうだ。


「文化祭の屋台でで寿司って珍しいけど、何でそんなリスクの高いメニューにするかなあ・・・」

「まあ、ニコラス卿と同程度と考えれば、そんなに不思議ではございませんわ。」

「赤貝とかいかにもっていうネタもあるね。」

「サイドメニューに生牡蠣もありますわね。これは狙っているようにしか思えません。」

「どうやってレーンを動かすんだろう。」

「どうみても人力ですわ。」

 私はB組の生徒に話しかけてみる。


「そこの君、少しいいかい?」

「ああ、ミッチェル殿下。何かございましたでしょうか。」

「これは寿司だよね。」

「はい。東洋のヤポンで食されているファストフードですね。しかもこれ、お客さんの前まで皿が自動的に動いていく料理なのだそうです。」

 やっぱり、何か違う・・・


「しかし、よく新鮮なネタが入手できたねえ。」

「そこはとても苦労しました。魚も切り身は塩やアルコールで漬けて鮮度を保たないといけませんし、ホタテも干物を水で戻して提供します。」


 冒涜だ!

 寿司に対する風評被害製造機だ。


「まあ、食中毒だけは起こさないようにね。そんなことが起きたら文化祭はその場で中止になるからね。」

 何か、学校行事がやたら中止になる気がするんだが、気のせいか?

 気を取り直してC組の出し物を確認する。


「ここは、いろんな屋台を開くんだね。」

「そうですわね。かき氷、ジュース、焼きそばにクレープ、チョコバナナですわね。」

「6人一組か。大変だね。」

 今は屋台と看板の作成をしているようだ。


「かき氷の機械はレンタルなんだね。」

「はい。季節外れなんで、専門業者も快くレンタルに応じてくれました。」

「それって、売れるの?」

「今の時期でも昼間は結構いけると思いますよ。」

「味もいろいろあるんだねえ。」

「スタンダードなイチゴやレモンだけでなく、ポタージュスープ味や鰹のタタキ味など、昼食に向いた味も取り揃えているんですよ。」

 ガ○ガリ君よりチャレンジャーだな・・・


「味見はしたのかい?」

「夏の暑い時なら勘弁して欲しいですが、今の時期ならこういう味もアリですね。」

 無いと思う・・・


「それで、ジュースはどういったものを販売するんだい?」

「女子はスムージーを希望していたのですが、最近はちょっと流行から外れた感がありますので、缶ジュースを販売することにしました。」

「仕入れたものを売るだけなんだね。」

「一番簡単な作業ですので、やる気の無い生徒をここに集中的に配置しました。」

 大丈夫か?


「看板なんかも手作業で作ってるんだね。」

「はい。C組では宮廷画家にコネを持つ生徒はいませんので。」

 確かに、A組なら躊躇無くそうしそうだ。


「まあ、頑張ってね。」

さて、残るはD組だが・・・


「これは・・・」

「あなた。D組は何をする予定なのですか?」

 一人の生徒を呼び止める。


「ストレス解消アトラクションですよ。」

「どんな出し物なのですか?」

「部屋の中の物を何でも壊してOKのアトラクションです。破壊方法も棍棒や魔法、何でもござれです。」

 さすが、かなり男子多めのD組である。

 ノリがFランそのものである。


「じゃあ、建物は教室をそのまま使うのかい?」

「もちろん、壁や天井は専門の魔術師に補強してもらいますが、窓なんかは割っても構いませんよ。殿下も挑戦してみます?」

「いや、遠慮しとくよ・・・」

「これを文化というのはおこがましいにも程がありますが、一応、学校の許可を取れているのですよね。」

「もちろんです。我々はD組ですから。」

 さすがのニコラス君も、ここまで落ちる心配は無いだろう。



「皆さん、いろいろ趣向をこらしておりましたわね。」

「何だかんだ言っても、A組が一番マトモだったような気がする。」

「さすがは上流階級出身者中心の集まりでしたわね。」

「直接確認できなかったけど、1年と3年もこんな感じなんでしょうね。」

「今年は私に匹敵する令嬢がいないせいか、演劇が無いというのが寂しいですわ。」


 それは去年の出し物が原因ナ気もするが・・・

 まあ、何とか事件を起こさず乗り切りたい。


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