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全戦力投入

 私たちはシナモンの案内で祠に向かう。



「しかし、何で俺たちを狙ったんだ。」

「確かに多額の身代金は期待できるが、戦闘力の高さを考えると、あまりお薦めの標的じゃないな。」

「デーモンスレイヤーすらいるのに・・・」

 何か、その称号恥ずかしい・・・


 するとミントが帰ってきて合流する。

「相手の人数は分かるかい?」

「全部で32人いたよ。半分は怪我してて倒れてるよ。」

「なら楽勝だな。」

「そうかなあ。」

「あれだけ手加減しても圧勝したんだ。今度は何人か生け捕りにしてやるぜ。」


「それで、どうやる?」

「祠の周囲にテンコーの力で空堀を掘ってもらって逃亡を阻止する。」

「後は追い込んだ賊を魔法で一方的に攻撃だな。」

「何か、相手が気の毒になってきたよ。」

「そりゃ、王都の下水道を焼き尽くす火力がここにはあるからなあ。」


 決戦の地は、祠周辺以外は森で、後は遊歩道が延びるのみである。

 夜で見通しが悪く、音を立てずに森を進むのは困難なため、潜行して奇襲を掛けるのは困難である。

 このため、実体の無いテンコーに先行してもらい、我々は彼が行動を起こすまでやや離れた所で待機することにした。


 そしてしばらくして、ドーンという轟音が鳴り響く。

 テンコーのイリュージョンが炸裂したのだろう。


「しかし、手品なら音を立てずに穴を掘れるんじゃないの?」

「演出に爆音は欠かせないって言ってた。」

「まあ、相手を混乱させるにはいいかもね。」


 私たちは陣形を組んで一気に駆ける。

 向こうから突進してくる賊と戦闘になるが、遊歩道だってそれほど広い訳じゃない。

 ニコラス君とドウェイン君を加えた三人が横に並べば、それで十分だ。


「おらおら、命が惜しくないヤツから掛かってこい!」

「若造が生意気なっ!」

 私たちが俗と数合交わしていると、後衛が到着し、すぐさま魔法による掩護射撃が始まる。


「おりゃ、どうだっ!若造の力は!」

 ニコラス君が射手を切り伏せる。

 運が良ければ生け捕れるかというくらい、見事に斬った。


 更に人間を超越しているフラワーさんが一飛びで相手の背後に回り、後ろから斬りつけている。

 子供たちを恐怖に突き落とした実力は本物のようだ。


 こうして前衛が四人、魔法とフラワーさんが十人ほど倒してこの場は制圧し、残りの三名を降伏させた。


「どうやらここは終わったな。」

「それでどうする。拘束具を持ってきてないが。」

「動ける者は祠まで歩かせよう。拘束はテンコーに頼めば何とかなるだろう。」

 祠に到着すると、そこには十名を超える賊が倒れており、すでにテンコーにより、透明なケース内に閉じ込められていた。


「よくやったテンコー。コイツらも追加で頼む。」

「任せてくれ。」

 テンコーは賊を軽くヒョイとケースに投げ込む。これもイリュージョンの一種なのだろうが、本当に重労働を軽々とやってのける。

 明け方に騎士団が到着し、賊を引き渡して宿泊所に戻る。


「しかし、何だったんだろうね。」

「まあ、ここが貴族学校の施設で今日ここに多数の生徒が知る者の犯行だな。」

「結構みんな知ってると思うけど。」

「そうだね。特に秘密にしているわけじゃないし、毎年の恒例行事だからね。」


「目的は身代金か政治的なものか。」

「その割には賊の身なりが庶民的だったぞ。」

「足が付かないように、ごろつきを雇ったとか?」

「なら尋問しても大した情報は出て来ないな。」

「せめて狙いが分かるといいんだけど。」

「誰か個人を狙ったものか、貴族全体に対する挑戦か。」

「舞踏会場を取り囲むように襲撃してるんだから、特定の個人を狙ったものじゃあるまい。」

「最悪、そう考えておくのがいいだろうね。」


「交流会はこのまま中止が妥当だろうね。」

「去年も途中で中止になったな。」

「でも、大手柄を立ててるよ。」

「そうだな。両殿下の実績としては申し分無いな。」

「そういうニコラス君の実績も凄いよ。」

「残念ながらドウェインにはあまり役に立たねえ実績だな。」

「そうだね。僕には必要ないね。」


「それで、これからどうする?」

「学校の警備は校長先生に任せるとして、通学路や寮、休日の対応も考えないとね。」

「特に両殿下はな。」


 こうして荷物を纏め、帰校・解散となった。


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