表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王国一の悪妻は、憎しみあう夫との離縁を心から願う~旦那様、さっさと愛する人と結ばれて下さい。私は私のやり方で幸せになりますので~  作者: ぽんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/74

3.

 領地での仕事が落ち着いたある日、ひさしぶりに王都に出てきた。


 王都にいる貴族の一部では、契約結婚とか白い結婚というものが流行しているらしい。早い話が、家やしきたりに逆らえずに結婚しなければならなくても、王家から離縁の合意を得られる期間になればさっさと離縁し、おたがいあらたな人生を歩むわけ。もちろん、そこに愛などない。おたがいに役割を演じればいいのだ。


 それでも憎しみはない。おたがいに憎しみ合うことはない。


 マイケルとわたしとの関係とはまた違う夫婦ごっこ。


 そんなら流行りの夫婦形態はともかく、王都にやって来たのは、彼に話しがあるからに他ならない。


 マイケルには何日も前に手紙を送り、屋敷に滞在する旨伝えている。


 彼の「ほんとうに愛する人」と鉢合わせしたくないからである。


 彼には「ほんとうに愛する人」がいて、侯爵家という体裁上屋敷に住まわせてはいないものの、親戚が泊まりにくる感覚で滞在させているはず。


 わたしは、そのように推測している。


 基本的には噂話は鵜呑みにしないし、使用人に尋ねたりもしない。


 あくまでもわたしの想像と勘。その上で推測している。


 約束の日、マイケルはすでに屋敷に戻っていた。


 もちろん、出迎えてくれるわけはない。


 愛馬を厩舎に預け、自分の部屋で身づくろいを整えるとすぐに厨房に向った。


 マイケルに手料理を振る舞う。その準備をするためだ。


 わたしが王都で彼と食事をする際には、できるだけそうしている。


 彼の好き嫌いは把握している。もちろん、味の好みや食べる量も。


 料理人に材料だけ準備してもらい、調理するのである。


 とはいえ、マイケルには手料理とは伝えていない。


 彼はいつも眉間にシワをよせ、舌鼓を打つなどとはほど遠い表情で食べている。わたしが同席しているのが気に入らないのだ。不機嫌オーラ満載のそんな彼は、わたしの手料理だとは気がついてはいないだろう。


 給仕は、メイドに任せている。


 メイドが彼の好きなポタージュスープを運んできたタイミングで「いただきます」と感謝を伝え、沈黙かつ憎しみに満ちた夕食が始まった。


「侯爵閣下、内密にお話があります」


 そのタイミングでそう切り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ