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車両製造会社を作れ!

 自前で車両製造会社を作るとなると、まずもって必要になるのは工場建設予定地だ。


 自分の会社向けの車両工場だから、うちの路線(ヤマシタ鉄道)沿いに作ればいい・・・というわけにもいかない。


 何故なら、この車両工場で製作した車両の売却を考えるなら、国鉄のことを考えないわけにはいかないからだ。なにせ、国鉄こそがルーレ王国でもっとも鉄道車両を必要とする会社になるからだ。


 最近になって、各地で私鉄設立の動きが起き始めているが、どちらにしろ国家を支える主要な幹線は、将来的に国鉄へと編入される。


 国鉄が必要とする車両の数は、莫大なものとなる。


 そう言うわけで、自社にも国鉄にも納入が便利な場所となれば、必然的に国鉄との乗り入れ駅に近いオジリシ駅近くになる。


 そこで、俺が目を付けたのがオジリシ駅の北側の土地だ。この付近は人家や耕作地が少なく、ほとんど森だ。立ち退きなどを考慮せずに、広大な工場敷地を確保できる。


 そしてこの土地、所有者はうちのお隣となるムーホ男爵だ。男爵は物静かな学者タイプ、というより実際に植物学の権威である20代の好青年だ。先代が亡くなったことで、やむなく男爵家を引き継いだけど、領地の経営は代官に任せて、自分は屋敷の隣に自分専用の研究施設を作り、研究に今も没頭している。


 お隣なので、年に1回は挨拶に行っているが、男爵が研究施設から屋敷に戻ってくるまで5時間も待たされたということがあってから、直接研究施設に乗り付けているんだよね。


 という訳で、一応事前に「これから行くからヨロシク」的な手紙を送ってから、妻のアイリを伴って男爵の研究施設に乗り込んだ。


「これはこれは公爵様に奥様。要件は伺っています。ちゃんと対価を払ってくれるのなら、好きに使ってください」


 と、白衣を着た男爵があっけらかんと答えた。いやまあ、こっちの方が圧倒的に爵位が上ていうのはあるけどね、こっちとしては何だか逆に申し訳ない。何せ、こっちは腐っても日本人の庶民なんだから・・・という訳で。


「男爵、もう少し欲を出してくださいよ。一方的に受け取るばかりじゃ、こっちが悪者みたいじゃないですか。だから、こちらからもお礼をさせていただきたい」


「しかし、対価は払っていただけるんでしょ?」


「もちろん。ただ、男爵はお金よりも喜ぶものがあるでしょ?」


「はい?」


「ここにいる私の妻が元魔王なのは知ってるでしょ?」


「はあ、存じ上げてますが」


 それが何だと言う顔をする男爵。


 すると、アイリが口を開く。


「実は私を頼って、元魔王領の住民が移住してきたのですが、その中には元農民や林業従事者もいましてな。つまり、魔王領にしかない植物や動物についての情報を、彼らは有していまして」


 途端に、目を輝かせる男爵。


「おお!」


「今は現地の治安が悪化しているのでダメですが、安定した暁には元魔王領へのフィールドワークに対して便宜を図ることも可能です」


「おお!!!」


 で、ダメ押しだ。


「それから、私の出身地である異世界の植物に関する情報もお譲りしていいですよ」


「公爵、それから奥様。その話もっと詳しく!!」


「ええ・・・じゃあ、交渉と行きましょうか」


 このあと、交渉(アイリに丸投げ)して、工場の建設だけでなく、鉄道車両会社への出資の約束も取り付けた。


 

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