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拡大するトセの街

 我がヤマシタ公爵領の領都トセの街は、元々はどこにでもある街道沿いの中規模な街だった。以前の領主であった伯爵は、この世界の基準からすれば善政を敷いていたそうだが、跡継ぎの息子が病気や戦争で相次いで亡くなって承継者が全滅。さらに、当人も高齢でこれ以上の領地経営に自信がなく、領地の経営権を国王陛下に返上して隠居してしまった。


 その領地を、異世界から召喚されて戦争を勝利に導いた俺が、受け継いだというわけだ。領主になってすぐに、その伯爵に会いに行ったけど、普通に人のいいお爺ちゃんで、今も時折夕食を一緒にしている。


 で、そんな前領主が善政を敷いていたというのは間違いないことで、際立って栄えているというわけでもないが、領民の生活水準は平均水準で、税率も高くもなく安くもない。しかし、街道や水道、それに市街地の住居などと言ったインフラは、よく整備されていて、治安もルーレ王国全体で見れば、かなり良い。


 だからこそ、俺もこうして領主と言う地位にありながら、鉄道趣味にかなりの時間を割いていられるわけだ。が、だからと言って領主として何もしなくていいという訳ではない。むしろ、これからはバンバンに関わる必要がある。


 特に鉄道開通後、それに伴うトセの新たな都市作り計画は、俺自身が積極的に関わっている案件の一つだ。


 トセ中央駅は、領主の権限をフルに使って、かなりの家屋に立ち退いてもらって(立ち退き料に糸目は付けなかった)街の中心部に建設した。

 

 当然、駅周辺の再開発も行っている。駅と駅設備の建設を優先したので、開業直後は駅周辺はかなりがらんとしていたが、開業から1年近く経過した現在では、駅前に将来のバスステーションを見込んだ巨大なロータリーが完成している。


 加えて、駅に接続する道路用地やそのロードサイドの商業用地なんかも事前に確保していて、今はまだ道路部分の舗装(アスファルトではなく、石畳ね)が済んだだけ。でも、屋台なんかの仮営業は許可しているから、鉄道の乗客や鉄道員目当ての店が開業直後から軒を連ねていた。


 今はこの仮営業の屋台にどいてもらって、新たに店舗併設型のアパートメントや各種行政機能の入った複合型のビルの建設を始めている。この店舗部分に、屋台の店の中から優良な店に優先的に入ってもらう予定だ。


 この駅周辺のビルの中には、住居型(マンションが近いか?)もあって、従来からの市民にも入ってもらう予定だ。想定しているのは、今後道路の拡幅などで立ち退きを迫られる人たちだ。


 自動車どころか、バスですら走り出すのはまだまだ先だろうけど、色々と見据えておくことに、損はない筈だ。


 もちろん、併行して上下水道の整備や、将来的な電化にも備えておく。


 やることは、尽きない。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 蒸気機関車タイプのスチームトラムというものが黎明期にはありましてね・・・ 分かりやすく言えば、某模型蒸気機関車劇のトビーとヘンリエッタです。
[気になる点] バスもよいけど、どうせ再開発するなら路面電車も良いのでは?
[気になる点] 街の中心に駅と言う事は領主館と役所はどこかな? 道の拡幅と立ち退き>欧州城塞都市の過密で改築もままならないもよく聞きますよね
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