交通網の再編を実施せよ
さて、国鉄立て直しの要は、いかに旅客需要を拡大させるかにある。その手段として考えられるのは、ゼロからの需要掘り起こしと、現在乗合馬車に傾いている長距離需要を国鉄に転移させることだ。
この内後者については、比較的簡単だ。国が補助金を出して馬車の収益源を長距離輸送から、短距離輸送に、強制的にシフトさせることだ。
つまり、鉄道と並行する長距離の馬車路線を強制的に廃止させて、乗客を国鉄の旅客列車に有無を言わさず移すということだね。相当な反発が予想されるけど、今はまだそれなりに強権が発動できるこの国なら可能だし、加えて輸送単位が小さい馬車で長距離旅客輸送をやらせるのは、総体的に見れば二重投資だ。
だから乗合馬車の、少なくとも鉄道並行路線は廃止させる。その代わり補助金を出すなり、何らかの優遇施策を実施して、それらの馬車を鉄道の駅から遠隔地へのフィーダー路線にシフトさせる。つまり、現代的な視点から見れば、馬車は高速バスでなく、街の路線バスをやれと言うことだ。
こうすれば、鉄道にアクセスできる乗客の数が総体的に増えるし、駅周辺での公共交通網の開発に繋がる。馬車屋としても短距離で多数の乗客を運んだ方が儲かるのだから、メリットがあるはずだ。
もちろん、乗客の便宜を図るために、国鉄も運賃の値下げなどが必要になるだろうけど、これに関しては総体的な乗客の増加でペイすると予測して、一時的な減収覚悟でやるしかない。今の高額な運賃が市民に敬遠される一因なら、ある程度の妥協は必要だ。加えて、貨物の方の収益が上がっているのだから、その儲けを旅客への還元と考えるべきだ。
一方で、ゼロからの需要掘り起こし。こちらは中々に難しい。路線自体が元々軍需輸送を前提に敷設されているから、駅が街から離れていたり、或いは人口流動のない地域を走っている区間もある。つまり、現状の人の流れと合っていない。
こうなると、既存の輸送需要そのものがない。となれば、新たに需要を沿線に持って来るしかない。
一つは、産業都市の開発だ。すなわち、鉱山や林業の集積地、あるいは工場を沿線に誘致する策だ。まだ機械化文明が進んでいないこの世界では、どんな形であれば産業ができるということは、その隣接地に人口密集地が出来ることを意味している。だから、有効な移動需要を作り出すことができる。
二つ目は、学園都市の建設。産業革命が成し遂げられた以上、各分野における知識人の養成はこの国にとって急務だ。俺がこの国に来るまでは、国家としての教育的な体系がなく、王都に王立のアカデミーが、あとは各領主が私的に作っていた研究機関や、軍の各学校しかなかった。
だから高等教育機関たる大学や専門学校の設置は、急務だ。この点については戦争中に俺の持ち込んだ資料で既に指摘されていて、学制と同時に高等教育機関の設置令が公布されている。ただし、まだ本格的には手が付けられていない。
なので、今回はそれを逆手にとって学芸省と連携して、こうした高等教育機関を鉄道沿線に設置して、誘客策とする。
他にも観光需要の創出や、日本の鉄道史上画期的な経営施策、すなわち住宅地の整備と言う手もあるが、実はこの2点に関しては、現状では有効なのかがわからないんだよな・・・
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