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敷設免許を手に入れろ!

「あの、勇者様。いくら勇者様でも・・・と言うより、勇者様自身分かっておられる筈ですよね?敷設の許可が降りないことくらい?」


 異世界にマイ・レールを敷くと決心して早数週間。俺はアイリを引き連れ、王都の鉄道省にいた。


 この鉄道省は対魔王戦争時に新設された役所で、今は国鉄の運営と国内の鉄道路線の監督を請け負っている。そう、つまり国内で鉄道を敷こうとするなら、この鉄道省の敷設許可をもらわないといけない。


 鉄道路線敷設に向けて、鉄道会社改札の準備や必要となる人材の確保と言った、運営と建設の事前準備を終えた俺は、最後の関門である鉄道省の敷設免許を得るために、こうして今クラギマ鉄道大臣と対面中だった。


 その大臣の顔は渋い。まあ、当然だわな。救国の勇者様のお願いを断らなきゃいけないからな。


「ああ、わかってる。鉄道敷設法だろ?」


 この国に鉄道と鉄道省が誕生した時、それに関する法律も制定された。その中で、鉄道敷設法は文字通り新規の鉄道敷設に関する法律だ。


「鉄道敷設法で、国鉄線に平行、あるいは国鉄線の敷設計画がある区間への敷設は、特別な事情がない限り許可されないことになってるからな」


 対魔王戦争中は、あらゆるものが魔王に勝つためと言う名のもとで、国の管理下に置かれていた。


 しかし、平和になった現在、経済を活発化させるために、そうした国の管理体制は次々に撤廃されて民間に開放された。鉄道の経営・敷設に関する権利もそうだ。


 ただモータリゼーション前のこの国で、鉄道は独占的な移動手段となれる、いわば市場を独占できる強力な道具だ。となれば、目聡い商人や貴族が鉄道の経営に関わろうと動くのは目に見えている。


 そんなことされれば、鉄道会社の乱立を招くし、下手をするとせっかく整備した国鉄線が危うい事態になりかねない。


 だから俺は、敷設法にさっき言った条件を含ませた。そして、俺が建設を計画している国鉄のレグ駅から、自分の屋敷のあるトセに近いアシロの間には、国鉄の支線の敷設計画があった。


 これでは、普通に考えれば鉄道の敷設許可が降りる筈もない。


「そこまで、わかっているなら」


「大臣、ただその敷設法には附則があった筈だぞ」


「附則でございますか?」


「そうだ。敷設法の最後に織り込んであるだろ?」


「ふむ・・・確かに、確かにその附則はありますが・・・本当に、よろしいのですか?この附則の条件を受け入れてしまって?」


「じゃなきゃ、提案しないよ」


 俺が鉄道敷設法に入れた附則。それは開業後25年目以降、国による買収の要請があった場合、何があっても拒まない、という内容だった。

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