開業に備えよ!
先に、言っておきます。後半部はタイトル詐欺です。
開業予定日を10日後に備え、いよいよ準備は大詰めと言うところだ。
トセ中央駅では盛大に開業記念式典を行う予定で、国王陛下をはじめとする来賓へのもてなしや、お召列車の運転もあり、現場は多忙を極めている。
列車の運転を管轄する運転部や信号部は、毎日試運転を行って機関士や信号手の錬成に余念がない。また駅の管理や切符の発行を行う駅務部では、開業後の切符や荷物の取り扱いのリハーサルをこれでもかと繰り返している。
もちろん俺も、自分自身の式典での準備(礼服とか式辞とか)もあるし、式典に納品する業者とのやりとりなんかもある。
そんなわけで、大忙しなわけなんだけど、別に苦なんかない。だって、自分の夢が実現するんだぞ。そう思うと、逆に興奮してもっともっと何かをしたくなってくる。
何て言えばいいんだろう、学生の時の文化祭の前に覚えた高揚感と言えばいいのかな?
とにかく、忙しいけど楽しくて仕方がない。
それから、もう一つ。今回は鉄道の開業準備も楽しいけど・・・
「あ、あの旦那様。これはどう言うことでしょうか?」
困惑顔のアイリが、忙しい合間を縫って俺に問いかけて来た。真っ白な真新しいドレスを着て。
うんうん、さすが美女。メッチャ映える!
「おう。制服を頼んだ商会にお願いして、アイリのドレスも新調してもらったんだ。うん、良く似合ってるぞ」
「で、でも・・・これ、式典用と言うより、まるでウェディングドレス・・・それよりも、私は式典には!」
「出ない気か?」
アイリは無言で頷いた。
「何で?何か不都合があるのか?」
「だって、私は人類の敵の魔王で・・・身分はあなたに下賜された奴隷に過ぎないから」
やっぱりね。まあ、確かにアイリは元魔王で、身分も俺に下賜された奴隷にはなっているけどね。でも、そんなこと俺は気にしない。というか、ねじ伏せる気だし。
「だけど、誰が何と言おうと俺の嫁だ。式典には出てもらう。というより、いい機会だから国王陛下らにも認知してもらう・・・まあ、普通の恋愛とか結婚とかからはかけ離れてるけどね。でも、ここまで来たらこっちも腹を括らないとね。アイリを、正式に妻に迎える・・・まあ、アイリが嫌なら考え直すけど」
「・・・どうなっても知りませんよ」
「それはオーケーと言う意味で、いいね?」
アイリは何も答えなかったけど、小さく頷いた。その顔は俯きがちで見えないくいけど、赤くなってるみたいだ。
まあ、アイリはこう言うけど、彼女の魔力は特別な術式で封印されていて、俺の命令がないと解除できないし、解除できる範囲も、例えば俺がクーデーターを起こすとか、そう言うのは除外されている。
だから今さら、アイリがこの国の脅威になるとは思えないんだけどね。
それに、異世界の勇者である俺のお願いなんだから、国王陛下も反対するとは思えないし。
ま、それに。夢のマイ・レールの開業式典で、俺の嫁を紹介できるなんて、鉄オタ的に最高だし。
だから、アイリを俺の嫁として認知させて見せるぜ!
絶対人生最高の日にしてやる!!
・・・はい、そこ!フラグ建て乙とか言わない!!
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