戦争2
幼いナターシャは、子供用ベッドの上で爆発音を聞いた。
彼女がその小さな体を伸ばしてガラス窓から外を覗くと、焼かれた街の中を何台もの戦車がゆっくりと進んでいくのが見えた。
それらはもちろん敵国の戦車だ。
わたしの国は負けたのか、ナターシャは幼心にそう思った。
ナターシャの父は兵士として戦争に行っている。父はもう帰ってこないかもしれない。
この家で暮らすわたしと母、それに兄のヴォロージャは、いったいどうなってしまうのだろう。これまで敵だった国の人間になってしまうのだろうか。そこでは善と悪が反転してしまう。誰も真実を話さなくなる。今日までの幸福なわたしは死んでしまう。
部屋のドアが勢いよく開いて、母が飛び込んできた。