第四話 〜Love over War〜
「……遅い……遅過ぎます、旦那様!」
初めて聞いたその言葉に、何故か深く心を締め付けられた。
いや、本当に遅かったのだろう。
俺も初めから知っていたはずなのに、どうしても彼女が自分の口で伝えられずにいた言葉だったから……
かつて、彼女自身はゲームのキャラクターにすぎないのだから。
全てのゲームには、必ず根幹となるストーリーがある。
それは奇しくも彼女たちを不幸へと向かわせているものだった。
ただ、通常よりも強い力と思考があったが為に、彼女たちは滅ぼされるべく存在へと堕とされてしまった。
だから理解出来なかったとも言える。
それ程までに不条理な世界が、悪を悪とだけにしか見えない世界が。
一方的な視点は、不必要に争いを生む。
判断の天秤で一方しか錘を乗せず、それを悪と断ずるのなら、それはあまりにも傲慢だ。
「待たせたな……俺が還ってきた」
かつての俺はそれが、それだけが許せなかった。
だから、悪に染まった。
傲慢と絶望の器として、神に成り代わり。
「お帰りなさいませ、旦那様……待ちましたよ!」
「あぁ、悪かった」
この子の……この娘達の笑顔を二度と曇らせない為にも。
Project No.001《Longing(切望)》
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Databaes All Cliea
Welcome to Another World
そして、さようなら……マスター
第一章 天地神明ヲ否定セシ者 〜Fin〜