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「ナナシ。お前さんの店、最近お客が増えたそうだな。」
「ほほ。最近は不思議な縁があるものでね。それもこれも、ゲンちゃんがあれを譲ったことが原因だろうな。」
「ああ、あれは自然とそうなったんだよ。
子供達も無事に大人になり、孤児院の子達を支えるだけの財も成した。
あとは静かに余生を送ろうと思った矢先の出来事だったのでな。」
「しかし、それがあっさりとゲンちゃんの孤児院にあれを寄付してくるとは。」
「そうだな。手離したつもりが、自然と自分の側に戻ってきた。全く不思議な縁よ。」
「そのおかげか、おそらく不思議な縁の残り香でお客さんが増えたのだ。」
「なるほど。そういうことか。」
—
「爺さん達、元気か。」
「おお、レイヤ君ではないか。元気にしているかね。」
「私はいつも仕事で忙しいよ。コンドウの爺様も元気そうで何より。
ナナシの爺さんも元気そうだな。うちの者達は元気か。」
「ほほ。エーコと一緒にうまくやっておるよ。」
「たまには見に来ないとな。・・・うん、向こうで楽しそうな声もするし、問題ないな。」
「ところでレイヤ君はどうしてここに?」
「まぁ、仕事のついでだ。大したことではない。エーコ。」
「レイヤ様、お茶です。」
「有難う。いつも気が利く。」
「それで、コンドウの爺様、あれを人にあげたのに戻ってきたとはあれは本当に呪物の一種だな。祓っておくか?」
「風の噂で聞いたか。その通り。おかげで孤児院もますます良くなっての。」
「ははは。いいことじゃないか。」
「それでは、私は行くことにしよう。エーコ」
「はい。ちょうどいただきました。」
「では、お二人とも、また。」
「またな、レイヤ君。」
—
「でも、若い人が無欲であるとは些か心配ではあるな。」
「ほほほ。それは間違っているぞ、ゲンちゃん。」
「ん?どういうことか?」
「彼は充分に幸せだったのは間違いない。ただ、維持するのであれば、
彼はあのまま持ち続けていただろうね、あのお守りを。」
「なるほど。そういうことか。それは確かに無欲ではないな。」
#2
「あ、流れ星。」
「うそ。ここからじゃ見えないでしょ。」
「そうかも気のせいかもね。」
「そういえば、ハナコさんから手紙来てたけど、見る?」
「ん〜見せて。」
手紙には子供達のお礼の言葉が溢れていた。
「かわいい絵描いてる子もいるみたい。」
「いいね〜。」




