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白貝  作者: 黄金天狗
51/55

#51

「ん?エーコが?」


ナナシさんが階段をゆっくりと降りてきた。

そのまま、厨房へと向かう。

ナナシさんは厨房の入口から中を覗いている。


「エーコ」

「ああ、ナナシさん」

「大丈夫か?」

「はい。お茶飲みますか?」

「いや、私が淹れよう」

「…そうですか」

「席に座って待っていなさい」

「はい」


「とっても美味しいです。久しぶりにナナシさんのお茶を飲めて嬉しい」

「お粗末様。どうだ?気分は晴れたか?」

「はい。気を使って頂いてありがとうございます」

「彼とは仲良く毎日のようにいたからね」

「そうですね」

「まぁ、ゆっくりしなさい」


エーコさんは飲み終わったカップを厨房の洗い場で洗っている。

布巾を持ってきて、そっと横に置いた。

「ありがとうございます」

エーコさんはカップを優しく拭いていた。

寂しいですか?

「そうですね。生徒みたいでしたから」


頁を捲ると今まで沢山教えたことが書いてありますね。

人がいなくなるのはいつも寂しいものですね。

「はい。しかし、思い出は残ります」

この料理帖は本棚にしまいますか?

「いいえ。私も後で見ますから置いておいてください」

わかりました。

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