#46
#1
「タカシ、資料できたぞ」
「シュウ、ありがとう。いつも手伝ってくれてありがとう」
「他にはないか?」
「もうないよ」
「そうか」
シュウはパソコンに向き直り、キーポードを叩き始めた。
「サイトウ」
「はい」
タカハシさんの机に向かうう。
「どうしたんですか?」
「いや、資料の置き場を聞きたくてな」
「ああ、ここのフォルダに入れてますよ」
「助かった。ありがとう」
「良かったです」
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「サイトウ、先日は悪かったな」
「何の事ですか?」
「いや、前の資料のことだ。少しきつく物を言ったと思ってる」
「そんなことないですよ。気にしないで下さい」
「悪いな」
タカハシさんは水を飲んだ。
「奥さんは元気ですか?」
「ああ、お陰様でな。一時はどうなるかと思ったが、今は順調に回復してるよ」
「本当に良かったですね」
「皆には苦労かけたよ」
「お互い様ですよ。私もいつも皆に助けられていますし」
「サイトウ、お前は良くできた奴だよ」
「タカハシさんに褒められると嬉しいですね」
「お待ちどう様です」
「来たか。さぁ食べよう」
「はい」
#2
「いらっしゃい」
「どうも、ナナシの爺様」
「まぁ、座りなさい」
「よっこいしょと」
「そんなに疲れたか、都会は?」
「長く移動すれば疲れるものさ。都会はまぁ色んな人がいるけど、あなた程、特別な人はいないよ」
「ほほほ、そりゃ残念だ」
「都会の者たちと話をすると、幻想を抱いている者が多くてな、なかなか離れようとしない」
「未練でもあるのかな?」
「はっはっは、違うさ。そうだったらもっと楽だろうさ」
「ふうん。この年齢でも分からない事があるもんだな…」
「世迷言を。爺様の言葉は時々本当か嘘か分からない。俺を揶揄うのは良してくれ」
「ほほほ」
「それよりもあんまり今日は連れ帰れなかったよ。爺様は都会に暮らした事があるだろう?何か良い案はないか?」
「あるが、長くは住んでいないさ。体が大きいから人の迷惑になるからな」
「まぁいい。自分で考えよう」
「ほほほ」
「都会でもあれの噂が広がっているぞ。あれが渡ることが珍しいとな。爺様、何か理由を知っているか?」
「検討もつかないな...」
「...この狸め」
「ほっほっほ。ぽんぽこりんとな」




