#44
「シュウゴ、ほれ」
シンゴさんはタッパーをくれた。
「ありがとうございます。ほうれん草のおひたしですね。俺、これ好きです。」
「そう言ってくれると、野菜も喜ぶ」
「隣町に住んだら、シンゴさんの野菜食べれないですね」
「なんなら、送ってやろうか?」
「本当ですか?」
「ああ。店に出せないようなやつを適当に送ってやるよ」
「でも...悪いですよ」
「子供のくせに遠慮するな。一人暮らしするんだし、これぐらいのことさせろ」
「ありがとうございます」
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「そんな事言ってくれたんだよ」
「いい事じゃないか。シンゴさんには俺からもお礼言っとくよ」
「でも、そんなに甘えていいのかる?」
「甘えていいんだよ。恩返しできるようになったら、すればいいんだよ」
「うん」
「このおひたし、美味しいな。シュウゴも食べろ」
「そうだぞ!あたしが全部食べちゃうぞ!」
「それは駄目」
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「シュウゴくんは本当にいい子だね」
「ああ、リュウゴと二人で良くいい子に育ったよ」
「シュウゴくんって昔はどんな子だったの?」
「そうだな。リュウゴの後ろにいつもいて大人しくしてたけど、優しい子だよ。今もあんまり変わらないな。
「そっか」
「リュウゴの事は聞かないのか?」
「うん」
「...まぁ、自分で聞いた方が良いな」
カナは笑顔で俺の顔を見た。
「ひとつだけ、言うとリュウゴは立派な男だよ」
「分かってるよ」




