#37
#1
いつもの様に屋敷の前に掃除してると、約束されていた二人がいらした。
「いらっしゃいませ。コンドウ様」
「どうも、タチバナさん。レイヤ君はいるかね?」
「はい。こちらへどうぞ」
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「相変わらず、タチバナさんのお茶は美味しいな。お茶の風味が口の中に広がる」
「恐縮でございます」
コンドウ様が湯のみを置くと、ふすまが開いた。
「コンドウ爺、よくいらした」
レイヤ様はコンドウ様と反対の席に座った。
「レイヤ君、あの場所は気に入ったかな?」
「ええ、前から良いと場所だと思ってましたので。徐々に集まっていますよ」
「そうか」
「にしても、コンドウ爺、手放しても良かったのか?」
「ああ。あの子供達も無事に良い里親の元に行った。それにハナコ君達が今後も子供達を見てくれると言っている。私の倅達にも既に相続は済ませている。途方のないあの財宝も恩人に渡した。思い残すことはもうない」
「皆、あそこは良い場所だと楽しく話しておりますよ。コンドウ爺の善行の賜物だな」
「そうであれば何よりだ」
#2
「ゲンちゃん!」
「おータケさん」
「どっか行ってたのか?」
「ああ、ちょいとね」
「帰るところか?」
「そうだな。この後は特に用事もないから帰るだけだな」
「なら、久しぶりに飲みに行くか?」
「それは良いな」
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「コンドウの爺様は相変わらず何でも一人でこなしてしまうな」
「コンドウ様らしいではないですか.」
「そうか...」
レイヤ様は顎に手を当てて少し俯いた。
「なぁ、フミコ」
「はい」
「この町はどんな町だったんだ?」
「そうですね。今と変わらずいい町でしたよ」
「そうか」
レイヤ様は顔を上げた。
「一つの時代が去り、新しい時代が来るか。新しい時代が育つまで己の責務を果たすとしよう」
「レイヤ様なら大丈夫です」
「ありがとう」




