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白貝  作者: 黄金天狗
35/55

#35

#1



「最近、腰が凝るかもな」

「タケさん、大丈夫?」

「うーん、年だからかな」

「元が丈夫だから、今まで気づかなかったのかもね」

「そうかもな」


「どう?タケさん」

「うん。だいぶ良くなった。ありがとよ」

「でも、一回ぐらい整体でも行ったらどう?」

「そうだな〜。暇もあるし、行ってみてもいいかもな」


---


「なるほど。どれ」

「その辺だ」

「ふーむ、確かに凝っていそうだな。タケさんも年を取ったね」

「ナナシさんは凝ったりしないのか?」

「私は問題ないですね」

「そりゃ羨ましい。どこかいい整体は知らないかい?」

「ふーん。近くにありますよ。行ってみますか?」

「それはありがたい。場所はどこだい?」


「ナナシさん、あの店を教えるのは珍しいですね」

「そうですね。なんとなく言いたかったんですよ」

「なんとなく?」

「ええ。なんとなくです」


---


ここだな。

人がいないのかな?

「いらっしゃいませ」

奥からひょろく背が長い男が来た。

「どうされましたか?」

「ああ、整体を受けたいのだが、大丈夫かね?」

「ええ。今なら大丈夫ですよ。こちらへどうぞ」

奥のマッサージベッドへ案内された。

「こちらに座ってください。調子を見てみます」

「はい」

先生は背中、肩、腕など調子を確かめた。

「なるほどなるほど。少し、背中が張っているのは長年の姿勢の問題かもしれませんね」

「昔からあまり凝ったりすることはなかったので、年かもしれません」

「まぁすぐ治りますよ。では施術しますね。うつ伏せに寝てください」

うつ伏せになり、マッサージベッドの穴に顔を入れて、目を閉じた。

背中から感触がしたが、なんだか固いものを当てている。

背中が次第にうっすら暖かくなってきた。

「深呼吸をして、楽に」

先生の言葉を聞いてから、眠くなってきた。

疲れていたのか、意識が遠のいていく。



#2



「ナナシさんの紹介してくれた整体に行ったら、もうすっかり良くなったんだ」

「それは良かった」

タケさんは腕を上げ下げして、肩をぐるぐる回してる。

逆に壊れるんじゃないか心配なほどだ。

「でも、そんなすっかり治るなんていい整体なんですね」

「そうなんだが、初めからすっかり寝ていてな。あまり覚えていないんだよな」

「よっぽど気持ち良かったんですね」

タケさんは膝を叩いて立ち上がった

「よし、これで午後も仕事頑張るか!」

「うっす」


---


「この前、新しい客を紹介してくれてありがとう」

「いえいえ、お互い様ですから。相変わらず腕がいい様子。この前、紹介したお礼を言われましたよ」

「そりゃ良かった。人間の体を長く見てきた甲斐がありますよ」

「それとこれが骨粉です」

「いつもありがとうございます。今度、あなたの体も施術しましょうか」

「ははは。冗談を。我々は特別ですから、不要ですよ」

「私の患者の中でもあなたは一番歪ですからね。最初、あなたの体を見たときは驚きましたよ」

「そんな昔の話を。ほほほ」

「ははは。でも、我々が会ったときに比べて、今は本当に平和になりましたよ」

「そうですね」

「では、私はこれで。エーコさんもまたお元気で」

「はい、コモリさん。また。」

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